夢見る場所１ ページ7
時々、伊沢さんが私を誘ってくれるようになって、２ヶ月が過ぎようとしていた。
伊沢さんからお誘いのメールが来て、それに返事をする。
すると、そのうち電話がかかってきて。
約束をする。
たいてい食事したり、映画を観たり。
帰りは必ず送ってくれて。
そんな日々を過ごしている。
私は相変わらず、語尾に「です」も「ます」もつけていたけれど、伊沢さんからは
いつの間にかそれが取れていて、気づけば呼び方も「森山さん」から「Aちゃん」
へと変わっていた。
相手は誰か、とは知らないけれど、私にいわゆる「デート」をする相手ができた
ということを知った大学の友人は、すっかり私に彼ができたと思いこんでいた。
別に、私と伊沢さんはそういう関係じゃない…と思う。
確かに、伊沢さんのような人が恋人だったらそりゃあ素敵なことだけど。
でも、多分ちがう。
なんとなく、そう思う。
というか、そうなりたいのは山々だけれど、ここ数年、自分のためだけに時間を
使ってきた私は、恋の仕方を忘れているかもしれない。
それより何より、その数年前、付属高校から大学入学直後までつきあっていた人に不条理な振られかたをして以来、
恋をするのが怖かった。
そんなある日。
いつものように食事をして、伊沢さんの車に乗る。他愛もないおしゃべりの中で、
伊沢さんがふと話題を変えた。
「そう言えば、この日はヒマ？」
と、信号待ちをしている間にスケジュール帳の日付を示される。
「いえ。今のところ、特に何も。」
「そう。」
「なんでですか？」
「ん？うん。」
「？」
返事とも何ともつかない言葉を返され、この話題はここで終わった。
数日後、うちのポストに封筒が入っていた。
「！？」
差出人は“伊沢拓司”。
伊沢さんだ。
私は、自分の部屋まで一気に走った。
音を立てて勢いよく部屋に駆け込み、バッグも持ったままリビングのソファにもつれるように
座り込む。
荒い息のまま開けた封筒の中身は……。
「観覧用のチケット…。」
ＮＨＫ ＢＳ云々…と印刷されたはがきが１枚、入っていた。
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月華(プロフ) - てるさん» コメント、ありがとうございます！応援してくださるだなんて…！がんばります。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月29日 22時) (
レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
てる - このお話大好きです、、！！応援しております！ (2019年1月29日 21時) (レス) id: d6f680dd65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2019年1月27日 22時
