日常生活 ページ49
朝。まだ学部生のAは、俺よりも１時間以上早く出発する。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
パジャマのまま、まだぼけーっとした僕を見上げて、Aはにっこり微笑む。
「今日、早く終わりそうだから。迎えに行くよ。」
「ホントですか？」
「うん。講義終了時刻ぴったりに到着するからね。」
「あはは。」
「ホントだよ。」
「わかりました。急いで出てきますね。」
「よろしくね。」
行ってらっしゃいのキスをして。暮らし始めたばかりの頃と変わらない照れ笑いをしながら、Aはドアを開ける。
Aを見送った後、俺はもう一眠り。二度寝って、どうしてあんなに気持ちいいんだろう。
今日はうっかり、福良さんからのコールで目が覚めて慌てて飛び出した。
大学院に行かない日のお昼は、オフィスでメンバーと一緒にだったり外食だったり。
味覚に合わないものをオーダーしてしまったりすると、ああ、今日が週末なら
どんなにいいか、と心から思う。Aが作ってくれる昼食が恋しくなる。
嗚呼、いつか作ってもらった鴨のハムを挟んだサンドイッチが食べたい。
５時半。ぼちぼちと片づけを始めたメンバーを尻目に、俺は光の速さで
散らばったメモ用紙やら筆記用具やらを片づけて。パソコンの電源を落として上着を着る。
「お先に！」
メンバーの返事を聞くこともなくドアをすり抜けて、駐車場へ。
自転車にまたがり、藝大方面へとペダルを漕ぎ出す。
目的地は、全国でも有名な藝術大学。日本で唯一の国立藝術大学で、音楽でも美術でも、
ここには才能の塊がうようよいる。
時計を確認すると、講義終了時刻まで後５分。今日は、これから何をしようか。
まずは、夕食の買い出しかな。俺はうきうきと、門の横でAの姿を探す。
部屋に着いたら食事をして。少しの作業と、ベランダでキミとのくつろぎタイム。本を読んで、メールのチェックをして。
「眠い？」
「少し。」
「そろそろ寝ようか？」
「はい。」
ソファから立ち上がって、寝室へと向かう。
さて。
今日は、どんな風にキミを食べようかな。
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月華(プロフ) - てるさん» コメント、ありがとうございます！応援してくださるだなんて…！がんばります。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月29日 22時) (
レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
てる - このお話大好きです、、！！応援しております！ (2019年1月29日 21時) (レス) id: d6f680dd65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2019年1月27日 22時
