可能性はゼロ１ ページ39
世の中、怖いモノ知らずっていうのはいるもんで。
Aちゃんは伊沢さんのもんだっていうのは周知の事実だというのに。
未だに、Aちゃんにちょっかいをかようとするやつがいる。
彼女の兄貴分のひとりとしては、ホントに気を遣うんだよなぁ。
東大王収録の休憩中。
息抜きしようと、飲み物を持って、自動販売機があるコーナーへと向かう。角を曲がれば
ぽっかり開いたスペースが目的地だ。
その角を曲がろうとすると。
「なぁ、伊沢くんって、あの女の子とつきあい始めてどれくらい経った？」
という声が聞こえて。
俺は思わず足を止めた。今日は確か、Aちゃんが観覧に来てる日だ。出演者の一部の人や山里さん、ヒロミさん…
それからスタッフの人も一部。Aちゃんが伊沢さんの彼女だって知ってる。
「さぁ……でも、そろそろ半年くらい経つんじゃないの？」
と、別の声が答える。
どっちも聞き覚えがない声だ。東大王のスタッフじゃないな、この人たち。
「学生さんにしては、長いよね、たぶん。」
「あー、そうだねぇ……。」
ふと、どういう意図で交わされている会話なのかと興味を持ち、俺はそのまま聞いてみる
ことにした。
「あの子、なんていうんだっけ？名前。」
「えーとね、確か……森山Aちゃんっていうんじゃなかったかな。メンバーがみんな名前で
呼んでるんだよ。」
「へー。水上くんも？」
「そう。Aちゃん、とか言って。」
「へぇ！相当かわいがられてるね。あー、そうだそうだ。光ちゃんとか、呼び捨てなんだよな。」
ふーん、ただの噂話か、そう思って、知らん顔決め込んで一歩踏み出そうとしたら。
「でもさ、そろそろじゃない？」
「何が？」
その一言で、俺は踏み出そうとした足を引っ込めて。耳をすませてみる。
「学生さんなら、そろそろだよな。」
「え？」
「サヨナラの時期に決まってんだろ！」
「あー……あぁ……そう…？…かな…？」
「中高と男子校で、東大だって圧倒的に男が多いだろ？いくらインテリでイケメンか知らんけど、恋愛経験少ないだろ！
あんなかわいい子、他にもっと恋愛経験豊富な相手がいくらでもいるんじゃね？すぐに物足りなくなりそう(笑)」
「そりゃお前の妄想だろ！」
「そしたら、俺が引き取りたいな。」
「オマエなぁ！」
「だってさ、あの子かわいいと思わねぇ？」
「思うけど。」
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月華(プロフ) - てるさん» コメント、ありがとうございます！応援してくださるだなんて…！がんばります。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月29日 22時) (
レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
てる - このお話大好きです、、！！応援しております！ (2019年1月29日 21時) (レス) id: d6f680dd65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2019年1月27日 22時
