いたずらな東風１ ページ4
あの日、一人の女の子が俺の免許証を拾ってくれた。
名前は、森山Aさん。
お礼をしたいから、と口実をつけて連絡先を聞いた。確かに、免許証が
何事もなく返ってきたのはすごく助かったけど。
彼女のことが気になっているのも事実。
連絡先を交換した翌日、森山さんから届いたメール。僕が東大王の
メンバーだって気づかなかったことを本当に申し訳なく思ったらしく。お詫びの言葉が
並べられていた。
それを読んで、なんだかおかしくなってしまって。つい、一人でスマホを眺めつつ
くすくすと笑いを漏らしてしまったらしい。
「どしたの、伊沢さん。」
川上が怪訝そうな顔をする。
「え？何が？」
「携帯見ながら一人でくすくす笑っちゃって。ちょっと気持ち悪いよ。」
「笑ってた？」
川上は大きく頷き、「思いっきり。」と言った。
「なんでもないよ。」
それだけ言って、俺は立ち上がった。
「どこ行くん？」
不思議そうに言う川上に、「ちょっと電話。」とだけ答えて、オフィスのドアから廊下に出る。
携帯のメモリから、森山さんの番号を探して通話ボタンを押す。
少し長目の呼び出し音の後、焦ったような声が聞こえてきた。
『も、もしもし？』
「もしもし？森山さんですか？」
『あ、はい。そうです。森山です。』
「昨日はどうも。伊沢です。」
『あ、いえ、あの、こ、こちらこそ。ありがとうございました。』
「突然お電話して申し訳ないのですが。」
『はぁ。』
「今夜、お暇ですか？」
『え？』
「食事でも、ご一緒にと思って。」
『あ、えと……。』
「先約がありますか？」
『とんでもない！全然ヒマです！』
「ふはは。それじゃ…そうですね、７時でいいですか？」
『はい。大丈夫です。』
待ち合わせの場所を告げ、通話をオフにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月華(プロフ) - てるさん» コメント、ありがとうございます！応援してくださるだなんて…！がんばります。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月29日 22時) (
レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
てる - このお話大好きです、、！！応援しております！ (2019年1月29日 21時) (レス) id: d6f680dd65 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月華
| 作成日時：2019年1月27日 22時
