所有者宣言１ ページ30
やっと、時間ができた。やっと。
ずっとオフィスに籠もりっぱなしだったけど、やっとひと段落。
俺は、はやる気持ちを抑えてAに電話した。
呼び出し音が、妙に長い。不審に思ったとき、呼び出し音が途切れた。
『……もしもし。』
「は？あの………ぇと………？」
『あの、森山さんは今、具合が悪くて………。』
相手がまだしゃべっている途中で、俺は通話を終了させる。
「福良さん！！ごめん！お先に！」
スタジオのドアを開けて、中にいる福良さんに声をかける。
「はいはーい。森山さんによろしくー。」
とのんきな福良さんの声を背中で受けて、俺は駐車場まで走った。
なんだよ、具合が悪いって！
ってか、あのオトコは誰だよ！？
俺の頭の中は、酷く混乱していた。
Aに教えられたパスワードを打ち込み、エントランスに滑り込む。
エレベーターまで走って、そのまま飛び乗り。なかなか着かないのろさに
いらいらしながら待って、そのままAの部屋へと走った。
ポケットから取り出した合い鍵で、思い通りに動かない手にもどかしさを
感じながら鍵を開けた。
「！」
１ＬＤＫのAの部屋、玄関の脇を寝室に使っていて、そこのドアは開け放たれていた。
暗くなった寝室の中には、ベッドに寝ているAと……驚いた顔で僕を見ている知らないオトコ。
「誰？」
それはこっちのセリフだ、と言おうとしたとき。
「あれ？どっかで見たことある気がする……。」
と、立ち上がって俺の方へと歩いてきた。
「どっかでお会いしたこと、あります？」
涼しい顔して聞いてくるコイツを。俺は、正面から見据えて言い切った。
「ないです。」
別にコイツの口から聞いた訳じゃないけど、ピンときた。男の直感。
コイツ、Aの元彼だ。
俺は、目の前の男を押しのけて、ベッドまで駆け寄った。
「過労だそうです。」
「過労！？」
無視を決め込んだつもりだったのに、男の言葉に驚いて振り返る。
「最近、毎日夜までレッスン棟にいたみたいですし。今日も、ずっと居残り練習してて。まだまだ練習してから帰るつもり
だったみたいですからね。」
「………。」
ショックだった。
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月華(プロフ) - てるさん» コメント、ありがとうございます！応援してくださるだなんて…！がんばります。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月29日 22時) (
レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
てる - このお話大好きです、、！！応援しております！ (2019年1月29日 21時) (レス) id: d6f680dd65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2019年1月27日 22時
