手を伸ばせば届く距離２ ページ17
「Aちゃんが喜ぶところが見たかったんだ、すぐにでも。」
「そんな…ありがとうございます。開けてみていいですか？」
「もちろん。開けてみて。」
包みを丁寧に解いていくAちゃんは、すごく楽しそうで。子どもが宝物を見つけたみたいだった。
包みから小さな箱が出て。不思議そうな顔をしながら、箱を開ける。
「うわぁ………。」
そこには、小さな赤い石がついた銀のネックレス。
「あ、ルビーとかガーネットとかっていう宝石名を期待しないでね。」
「そんな……。」
そんなこと期待する子じゃないってことくらいはわかってるけど。
「でも、一応天然石。今回行った先の名産品。」
「そうなんだ……。すごくきれい。嬉しいです。高かったでしょう？」
「別に。普通だよ？次、なにかステージがあるときにつけてよ……あ、それにしてはシンプルすぎたかな。」
「とんでもないです！とっても素敵。絶対につけます！」
申し訳なさそうに、それでもどこか嬉しそうに。Aちゃんの表情に、心臓が高鳴るのはいつものことだった。
「つけてみてもいいですか？」
立ち上がって、ボードの上にある鏡をのぞき込み、ネックレスを首元に回す。
「やってあげるよ。」
Aちゃんの後ろに立つ。
「お願いします。」
Aちゃんが、俺の方を振り返ってネックレスを差し出す。そのまま俺は後ろに回らずに、正面から直接首に腕を回した。
「ぇっ…………。」
ちょっと驚いた顔をしたAちゃんの、軽く見開かれた目に心臓は更に高鳴る。
ゆっくりとネックレスの留め金を留めても、俺は腕を放そうとしなかった。
「ねぇ、Aちゃん。」
「………っ、はい………ひゃ！？」
そのままAちゃんを、自分の胸へと抱き寄せる。
手を伸ばせば届く距離。
届かせないはずがない。
そのまま、俺はAちゃんを固く抱きしめた。
「い、伊沢さん！？」
Aちゃんの声は明らかに焦ってる。
「ん？」
「あのっ、その………。」
腕を突っ張って離れようとするAちゃんを逃がさないように、俺は一層力強く抱きしめた。
「…………Aちゃん、全然気づいてくれないから。」
「…………はい？」
「こんなに……好きなのに。」
「…………え。」
時が、一瞬止まった。
「後で悔いるから『後悔』と言います。」１→←手を伸ばせば届く距離１
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月華(プロフ) - てるさん» コメント、ありがとうございます！応援してくださるだなんて…！がんばります。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月29日 22時) (
レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
てる - このお話大好きです、、！！応援しております！ (2019年1月29日 21時) (レス) id: d6f680dd65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2019年1月27日 22時
