たとえこの命が尽きようとも口にできない１ ページ13
好きだ。
好きだ。
大好きだ。
渡さない。
誰にも。
「うん。明日帰るんだ。完走？したよ？サブチャン楽しみにしててよ。おみやげ、買ったから。それも楽しみにしてて。うん。
それじゃ。練習頑張って。」
電話の向こうの「ありがとうございます。気をつけて帰って来てくださいね」という声を聞き、通話をオフにする。
「キミタチ、ホントに仲いいね。」
その声に振り向くと、そこには須貝サンがいた。
「シャワーも浴びずにソッコー電話ですか？」
それがなにか、という顔をして、俺は須貝サンを見つめる。須貝サンは、そのまま俺を見て言った。
「ってか、伊沢サンが森山さんにベタベタに惚れてるよね。」
「うん。」
からかおうと思って言ったらしい須貝サンは、あっさりと認めた俺に少し呆れた顔をした。
「珍しいね。伊沢サンが物事に慎重になるなんて。」
「別に慎重になってるわけじゃないよ。これでもめちゃめちゃ積極的。他大学だし。とられたくないから。」
「…まぁ、アソコの超名門芸大には才能のカタマリがいっぱいだしね。鈍感な向こうが気づかないってことか。」
「そんなとこ。」
面白そうににやっと笑った須貝サンは、「だろうなぁ。相当だったからなー。」と呟き、それから「ま、がんばってね。」と付け足してシャワーを浴びに行った。
彼女……森山Aさんという……とは、ひょんなことから知り合った。なんだかんだとメンバーとも顔見知りになり、
すっかりQuizknockのマスコットというか妹というか……。音楽分野のライターに勧誘しようか、とまで言われるくらいには馴染んでいて、
とにかく、メンバーにかわいがられる存在になっている。
あいつらは、何かにつけて俺とAちゃんのことをくっつけようくっつけようとしていて、今のところは、それがあいつらの一番の共通の楽しみみたいになっている。
そこそこ積極的に誘ったりアピールしたりなんだりしているのに、当の本人はこれっぽっちも
気づく様子もなく。それが連中には面白くて仕方ないらしい。俺は、小さく肩を落とすと
そのままシャワーを浴びに向かった。
シャワールームの脱衣スペースに入ろうとドアに手をかける。
と。
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月華(プロフ) - てるさん» コメント、ありがとうございます！応援してくださるだなんて…！がんばります。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月29日 22時) (
レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
てる - このお話大好きです、、！！応援しております！ (2019年1月29日 21時) (レス) id: d6f680dd65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2019年1月27日 22時
