いつもの帰り道２ ページ2
「それより、こちらこそ驚かせてしまったみたいで。大丈夫ですか？」
心配そうに翳る表情に、少しどきりとする。
「あ、全然。平気です、平気。本当にお手数かけました。あの……重かったでしょう？」
おんぶされた瞬間、見た目よりもしっかりした筋肉を感じて、鼓動が早くなったのはここだけの話だ。
「いえ。全然？」
伊沢さんは、平然と答えた。
「鍛えてますからね。スパルタンレースとかにも出てるんです、これでも。」
「スパ…？」
「いえ、なんでも。」
伊沢さんは、私に気を使って、そこでしばらくお話しをしてくれた。
「立てますか？」
「あ、はい。」
あったかい飲み物も飲みきり、だいぶ時間も過ぎた。
「本当に送らなくて大丈夫ですか？」
「大丈夫です。ホントに、すぐそこなんで。」
「それじゃ、気を付けて。」
「ありがとうございました。」
送りますよ、と言ってくれた伊沢さんに丁重にお断りした。いくらなんでも、これじゃ
どっちが恩人かわかんないよ。
公園の入り口で、伊沢さんとは別方向に歩き出す。
５ｍ程行くと、後ろから声がした。
「森山さん！」
振り返ると、伊沢さんが小走りで追い掛けてくるところだった。
「何か？」
軽く息を弾ませた伊沢さんは、優しい笑顔で言った。
「連絡先を聞くのを忘れていました。」
「え？」
なんで？
「日を改めてお礼がしたいので、連絡先を教えて下さい。」
「そ、そんな！お礼だなんて。」
私は両手をぶんぶん振った。
「むしろ、私の方がお世話をかけてしまって。お礼をするんだとしたら、私の方です。」
「いえ、本当に。もっと質の悪いヤツに拾われていたら、こうやってすぐに僕のところへ
返ってこなかったかもしれません。」
「そんなぁ………。」
すっかり困ってしまった私を見て、伊沢さんはくすりと笑った。
「それじゃ、お互いに何かお礼をする、っていうことでどうですか？」
「え、ぁ……そう、ですね。うん、そうです。少なくとも、私は。」
「というわけで、どうですか？」
伊沢さんがスマホを手にして振る動作をしたので。
私も、バッグからスマホを取り出して、お互いにふるふるっと振ってみる。新しいお友達には
伊沢拓司
と書かれていた。
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月華(プロフ) - てるさん» コメント、ありがとうございます！応援してくださるだなんて…！がんばります。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月29日 22時) (
レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
てる - このお話大好きです、、！！応援しております！ (2019年1月29日 21時) (レス) id: d6f680dd65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2019年1月27日 22時
