【鬼滅の刃】あけぼのの夢【短編集】

【時透無一郎】紫苑の追憶 ページ10

リクエスト来ないから自分で書いちゃうもんね！！
ぷんぷん。


…



Aが消えた。彼女が消息を絶ったのは、四週間前。

Aが向かったのは比較的近場の任務の筈。

Aは、稀血だった。

この事が示唆していることは、誰にでも解るだろう。


消息を絶ち、二ヶ月。

墓ができた。


遺骨もなんにもない墓。

その墓にはいろんな人が来た。

蟲柱、恋柱、風柱、音柱、水柱、蛇柱。
Aに助けられた人。
平隊員や、隠。
蝶屋敷の子達。
蟲柱の継子。
炭治郎達も来た。

最後にお館様が墓参りに来られたことをぼんやりと、ただ見つめていた。


お館様が帰った後、道端に淡い紫色の花が咲いていたのを見つけた。

この花は……Aが教えてくれた紫苑だ。


「あのね、無一郎。紫苑の花言葉はね、『君を忘れない』。私は絶対に無一郎を忘れないよ。だから、無一郎だけは私のことを忘れないでね。」


そう言い、花を摘み取った時のAの表情を思い出す。


……忘れない。忘れられない。忘れたくない。

誰が忘れるものか。


Aは、色んな人に慕われていたよ。俺は感情を崩すことのない蟲柱が墓前で泣いていたことを知っている。同じく、蟲柱の継子も涙を溜めていた。

どんな人も、心が泣いていた。


そして、俺も。


紫苑をあの日、Aがしてくれた用に摘み取る。

　

　

　

　
「君を忘れない」


墓前に紫苑を置くと、頬に生温かいものが伝っていた。
　


　


　


　


　


　


　


　

　


　


　


　


　
さようなら、A。


　

……

無一郎の花イラストのラフを描いている時に思い付きました。

紫苑って無一郎君にぴったりな花言葉だよね。

……私、無一郎君は悲恋しか書けない気がする。


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