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ヤスに気持ちを打ち明けてからも別にこれといった変化はない。1つ変わったことと言えば
前よりもやたらとヤスが懐いてくること。
私が楽屋で静かにネタを考えていても隣に座って動画を見ていたり、コンビニで買ってきたお菓子を餌付けされたり、ご飯に行くことを催促されたり。
正直、ちょっと、京極に見られてないか内心ハラハラしながらも
ワンちゃんみたいに懐いてくれるヤスが可愛いくて堪らない。
現に今も私の隣で陽気に俺ラブの練習をしている。
「なあ〜、最近私にくっつき虫やね。可愛いけど」
「これは賭けなんです。そのうち動き出すと思いますよ。あとはシンプルにAさんに飼いならされるの悪くないんで〜」
「何それ、どゆこと？」
「Aさんは知らなくて良いんです〜」
どんな理由であれ懐いてくれる事に嫌な気持ちは一切ないので特に気にせずに、心地よいヤスの隣でボーッと過ごしていたら
黒い影が私の前で止まった。
『お前ら最近距離感きしょない？』
「え、今日最初に言う言葉がそれなん？ひど〜いっ」
「あ、京極さんおはようございます！Aさん最近借りちゃってます！すみません(笑)」
「本人目の前に貸し借りとか言ったらアカンやろ〜」
『いや、ヤスほんまやで。今日の夜はA返してもらうわ』
「あ、どうぞどうぞ！！京極さんにお返しします」
「なんか私の扱い雑ちゃう？？まあ、ええけど。京極とご飯行くん久しぶりやな〜ラッキー」
さっきまでボーッとしてた事が嘘やったんかと思うぐらい、急に京極とご飯の予定ができた。
2人でご飯に行くのは結構久しぶりで、嬉しくて、
最初に言われたヤスとの距離感の事でハラハラしていた事すら忘れてしまっていた。
『1個確認やけど、お前ら付き合ってるわけちゃうよな？』
「いや、ないない」
『そやんな、みんなで足並み揃えてるもんな。』
「抜け駆け許さへん感じや。」
『そ。じゃ、終わったら待っててな。』
「はーい」
気づいたらいつの間にか隣にいたヤスが、村田や吉野のところに行っていて
ヤスの気遣いの出来の良さと、私は京極の事で頭がいっぱいだったんやな。と自分の盲目さに呆れてしまう。
それでも、考えてしまうのは今日の夜のことで。
最近買った可愛い雑貨の事とか、この前一人で観に行った美術館の話とか、大阪の同期の最近の事情とか、何の話をしようかで既にキャパオーバーだ。
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作者名：ぴの | 作成日時：2023年12月12日 1時
