希望、それは戯言。2 (ページ8)

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目が覚めると、冷たく硬い感触に違和感を覚える。体を起こせば、真っ白な部屋。脚には足枷が着いていた。捕まった。そう思うのに時間はかからない。

「……」

声を出そうと思っても、全く出せない。忠告を破ったせいか。これじゃ、あの人達に怒られる。…何で、そんな事考えているのか。

『んだよ、起きてたのかよ。』

扉の方へ目を向ければ、黒い布で鼻から下を覆っている奴が部屋に入ってきた。

『返事くらい…あ、声出ねえのか。』

そう言って、俺の傍に来て急に首の後ろに手を添えられる。その瞬間、小さい電流が走ったような感覚がした。

「っ、」
『これでお前は無闇に外出れねえからな』

首の後ろだから何をされたか全くわからない。首の後ろを押さえながら、目線をそいつに向けると、そのまま部屋から出ていってしまった。出て行けと言わんばかりに鍵を閉めずに。

本当なら、今すぐにでもこの部屋から出てあの人達を探したいが、この歩く度に音が鳴る足枷のせいで扉まで辿り着くことすら出来ない。

部屋を見回しても、ベットとテーブル以外モニターしかない。このモニターがどんな役割をするのか。それは後に分かってしまう。

今はとりあえず無闇に動く事はやめよう。首の後ろに何かされたのもあるし。暫く適当に頭を悩ませていれば、扉が開く音がした。

『ふーんふふーん♪君が噂のNo.3だね！！』

机の上に食事ののったお盆をかなり雑に置いた後、すぐさま俺の隣に座ってきた。何だこいつ。

『初めまして！まあ、名前は名乗れないんだけど…これからよろしくね！』

手を差し出してくる妙にハイテンションな奴を無視して、机の方に移動しようとすると、腕を強く引っ張られた。

「な、…」
『挨拶くらいしてくれてもよくなーい？これからずっと一緒にいるんだから、さ？』

こいつはパーソナルスペースというものを知らないのか。初対面にも関わらず、腕の中に引き込んできて、背中に重みをかけてくる。でも、そんなの関係ない。俺はここにいるつもりなんて微塵もない。もう一度腕を振りほどこうとする。

「……っ」
『ねえ、何をそんなに拒否するの？…ふふ、いつものNo.3なら簡単に振りほどけるかもだけど、今は無理だよ。』
「……」
『さっき首の後ろになんかされたでしょ？それ、一定期間力が半減する作用のある薬を投与されたんだよ？』
「っ！」

何だそれ。そんな薬聞いたことが無い。まさか、研究ってそういう…

『ちゃーんと被検体の役割果たしてくれて助かるよ♪』