希望、それは戯言。2 (ページ7)

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謎ページ7

『お迎えに来たよ？』
「…あの人達を返せ」

背後に感じたオーラに内心焦りながら、距離をとる。こいつもきっと、いや絶対。あの研究所の一員だろう。

『えー？それは無理なお願いだな〜』
「巫山戯るな。お前らのせいで、っ」
『んふふ。そんなに反抗的な態度とるのはちょっとよくないよ？』

感情任せに言葉を吐けば、ある程度あったはずの距離がすぐさま縮まり、俺の目を見てにこりと不気味な笑みを放つ。

『俺達の夢は素晴らしいものなんだ！！この実験が成功すれば、世界はもっとよくなる！』
「お前らの幻想の為に犠牲になる人間がいる。」
『うんうん。でも、それは実現の為の必要な犠牲だからしょうがない！』
「あ？」

睨むように見つめても目の前のこいつは、ヘラヘラ笑っている。今すぐ殴ってやりたい。でも、俺じゃこいつには敵わない。掌に爪が食い込むような感覚がする。

『おお、賢いね。ここじゃ、頭弱い方って聞いてたんだけどね〜』
「……あの人達は何処にいる。何をした。」
『えっとね………秘密〜！！』
「っ巫山戯んのも大概にしろよ」

勢いで胸倉を掴む。感じたことのない苛立ちが湧いてくる。早く戻さないと。手遅れになる前に。

『あらら、賢いなって思ってたのに、ちょっと言っただけでこれ〜？つまんな〜い』
「っぁ、が」

考え事をしている余裕なんてなかったのに。隙をつかれて一気に鳩尾を蹴られ、思わず受け身をとると、馬乗りされて、首を掴まれる。形勢逆転された。自分よりも幾分か低い身長なのに、何処からこんな力が。

『君じゃなかったらこのまま殺してもよかったんだけど…うーん、大事な被検体だしね！』
「かはっ、！…げほっ」

そのまま髪の毛を勢いよく引っ張られ、鼻と鼻が触れ合うそうになる。

『今後もし俺に攻撃しようもんなら、腕の1本や2本、折ってもいいんだからね？』
「………」
『はは！やっぱ賢いね！偉い偉い！！』

そう言って、手が離される。体が開放されたからか、咳が止まらなくなる。その内に立ち上がって俺の前にしゃがんで笑っている。嫌という程癪に障るやつ。

『やっと収まった？じゃ、行こっか！』
「…げほっ、ざ…け」

声が思うように出ない。ああ、そういえば医者に無理に声は出すなと言われたっけ。

『もうやめときなよ。いつか本当に壊れるよ。』
「っ、ぃ…」

妙に神妙な顔をして、俺の心臓を指で軽く押した。ずっと咳をしていたせいなのか、だんだんと瞼が落ちていく。まだ、駄目なのに。意識は体に抗えない。