希望、それは戯言。2 (ページ6)

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今日もいつも通り康二の分のご飯を作って部屋をノックする。いつまでこんな風なのか。問う相手すらいないのに、そんな事ばかりが頭を支配する。

返事はない。たぶんしてるんだろうけど、声が聞き取れない。まあ、大丈夫だろうとそのまま開ければ、急に風が襲ってきて、咄嗟に目を瞑る。暫くして風がある程度収まったため目を開けると、そこはもぬけの殻だった。

手に持っていたお盆がすり抜けていった。ずっと一緒にいると言ったのに、少しでも離れてしまった罰なのか。

「っ、康二！」

布団を捲っても、あの弱々しい声を絞るように出す彼はいなくて。全部の部屋をくまなく探しても、人一人いない。

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『疫病神！！』

『お前なんか死ねばいいのに。』

『邪魔者はこっち来んな。』

『お前さえいなければ、幸せだったのに、！！』

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ごめんなさい。俺がここに来たから。俺は来ちゃ駄目だった。散歩と行ってどこかに行けばよかった。あの時、無理矢理にでも逃げればよかった。

ごめんなさい、俺のせい。ごめんなさい、もう何も望まないから。さっさと消えるから

ついさっき洗い終わった包丁を手に取って、首にあてる。もういなくなるから、皆を返して。

それなのに。前までならこのまますぐにでも首を掻っ切ったはずなのに。手が震えてどうしてもあと一歩が踏み出せない。何で、死ななきゃ。俺は、疫病神だから、！

包丁が音を立てて落ちていく。死にたいはずなのに、体が勝手に拒んでしまう。これも全部あの人達のせい。でも、不思議と生きたいかもしれないという感情が湧いてきて。

怖いけど、何だか嬉しくて。生きるってこんなに苦しいんだ。改めて生を実感した途端胸が張り裂けそうだった。

でも、もう今更生きる事に執念なんてこれっぽっちもないから。せめて、皆を助けてから。それまでにこの死にたくないだなんて思い、捨てなくちゃ。

来る日も来る日も調べた。時にはもともと物欲のない自分の貯金をはたいて、情報屋に頼み込んだり。そうして、ようやく掴んだ尻尾。もう俺は1人では生きていけないのかもしれない。

人間の体を実験体にして、国に極秘の研究をしている研究所があるらしい。極小さな噂だが、そいつらに連れて行かれたというものもある。

やっと、見つけた。これで元に戻る。目に映るのは机に散乱する資料と暗闇の中光り続けるパソコン。

『はは！随分と壊れかけちゃってるね？』

「…っお前」