希望、それは戯言。2 (ページ29)

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揺れる思い/？？ページ29

最後のチャンスだと言われて放された。別にそんなもの欲しくなかった。殺すなら殺してくれた方がいっそ有難かった。でも、結局上に逆らう事なんて出来なくて、照に伝えてしまった。酷く傷ついた表情をした彼を目の前にいつもの口調でいないと今すぐ否定したくなってしまった。

きっともう恨まれているだろう。それでも良かった。あいつらが幸せでいてくれるならそれでいい。さっさとこんな糞みたいな所抜け出してほしい。

そう思いながら、適当に下っ端のやつに指示を出した。どうせ、こんな奴らに殺られるようなヤワな奴じゃない事くらい知っている。下っ端には申し訳ないなと思いつつも、監視カメラからその光景を眺めていた。

そんな時、目黒が1人別の部屋に入っていくのが見えた。その後ろにはあの厄介な奴がいて。気づけば、あの部屋の扉の前にいた。何しているのか自分でもよく分からなかった。ここでこの部屋に入れば、本当に裏切り行為になる。それでもここで食い下がる訳には行かなかった。

『あっれ～？深澤じゃん！こんな所に何しに来たの？』
「目黒を離せ」
『…へ～、裏切るつもり？しかも、目黒って言ってるんだ。』
「離せっつってんだろ」
『嫌だね、俺この子気に入ってんの。』
「お前の気味が悪い遊びに付き合わせるわけない」
『何それ。もういいよ、裏切り者には成敗を下してあげる！』

目黒を丁寧に床に横たわらせた瞬間、俺の脇のすぐそばに手が来た。あと数センチ。咄嗟に避けていなければ手が当たっていただろう

『へー、人一倍責任感が強いお前が逃げるんだ。責任から逃れようとするんだ？』

あいつの手が触れたら終わる。やり方は残虐で辛辣で。そんな事はどうでもいい。それより、目黒を無事に返さないのは非常に困る。

『もともとさ、お前があの時点でNo.3を殺してあげてたら少なくとも力を手に入れる事はなかった。自分の判断力を過信しすぎてない？』

ラウによく似た声がやけに頭に残る。全部正しいと思った。俺があそこで苦しませずに死なせていたら、目黒は人生に終止符を打てた。それがあいつの幸せなのかもしれない。今更そんな事思ってもどうにも出来ないのに

『大体ただ集めろって命令されただけなのに何情に厚くなってんの？偽善者ぶるの辞めたら？』

偽善者。今まで呆れるほど言われてきた言葉。それに対していつも曖昧な返事をしていた気がする。実際、本物の善人になれるわけもないし、別にどう思われてもいいと思っていた。でも、目黒にとって俺は偽善者でもなく敵に見えたのではないか