希望、それは戯言。2 (ページ15)

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一筋の光ページ15

今回はあの新しそうな背表紙の本は見つからなかった。やはりあれは罠だったか。

隠し扉の場所は覚えている。という事は近くの本棚にあるはず。どれもこれも難しそうな本ばかりで目をしかめる。すると、1つの本に目が止まる。

『実験対象者について』

妙な好奇心からか、自然と吸い寄せられていく感覚がした。手に取り、ページを捲れば難しい単語ばかりが並んでいる。最後のページを捲った途端、あの隠し扉から音がした。…開いた。

からくりがよく変更されているのか。本を持ったまま、階段をおりていく。そういえば、前は見張りがいた。そいつに見つからないように、慎重に確実に。何かあれば殺すつもりで。

と思っていたが、誰もいなかった。そういえば、歩いてくる最中もやけに静かだった。一斉にどこかへ行ったのか。

鍵は波動で壊す。何やかんやいって、この力は便利ではある。正直、今すぐにでも手放したいが。相変わらず暗い一本道を歩く。また扉が現れる。先ほどと同じような事をして、ドアノブを回せば、また本棚が並んでいる。でも、上の部屋とはまた違う。

「研究所の構造…解除薬の作り方…被検体の取り扱い」

恐らく研究員の中で共有されている所なのだろう。使えそうな本を何冊か手に取って、元来た道を辿る。

何冊か本を読めば、ある本のページに被検体の管理の仕方と見出しがある。管理、だなんてそんな人間を人間だと思わない言い方が気に食わない。

…見つけた。あの本にどの部屋に誰がいるのかがご丁寧に記載されていた。急いでその部屋まで行けば、扉の前に被検体管理部屋と書かれていた。

音を立てないように静かに扉を開ける。その瞬間、鋭い視線が突き刺さった。

「……目、黒？」
「…そうです。……翔太くん」

そう言った瞬間、俺に飛びついてきた。が、すぐに離れる。それもそう。なんてったって俺はもう人間じゃない。

nb「その後ろの羽みたいなのは…」
「これは…実験みたいなやつで」
nb「っ！…お前もか」
「お前もって…っまさか」
nb「俺も、変な力持ってんだよ」

そう言って翔太くんが取り出したのは瓶だった。何をしだすかと思えば、治癒と瓶に向かって声を出した。そして蓋をして2、3回振れば、何もなかったはずの瓶に液体が入っている。それを飲み干して俺の首に手を当てると、微かな光が出る。…喉の不快感がなくなった。

nb「これが俺の。見たものしか声に出しても使えない。まあ、コピーみたいなもんだけど、一回使ったらそっから24時間は使えない。」