希望、それは戯言。2 (ページ12)

今日:8 hit、昨日:25 hit、合計:52,439 hit

∴ ページ12

『綺麗…真っ黒の羽とか神秘的…』

やっと痛みが収まって、蹲っていた体制のままベットに倒れ込んで、必死に息を整える。涙が未だに止まらない。

『本当に天使みたい…今まで生きてきた中で1番美しい…』

急に肩を掴まれて無理矢理起き上がらされ、腕の中に引き込まれる。もう抵抗する力も残ってなかった。ただひたすら腕の中で震える体を抱き締めた。

『ああ、これをあの人に見せたらきっと大喜びするだろうな…』

羽を触られて、思わず体が反応する。優しく触られるのが、酷く安心する。駄目だ、正常な判断が出来なくなってきてる。

『泣き顔も綺麗とかめちゃくちゃいい逸材に出会っちゃった♡』

その声を最後にぷつりと意識が途切れた。

ゆっくりと意識が浮上していく感覚がする。目を開けようとするが、何かが乗っている。

『あ、起きた？起こしちゃうかなって思って動かなかったんだけど、体痛くない？』
「……」

目に乗っていたものがとられると、あいつの顔が飛び込んできた。あわよくば夢であれと思ったが、そうはいかないらしい。背中の違和感、若干目が腫れているような感じ。夢ではない。

『早速で申し訳ないんだけどさ、一旦移動するね。』

そうして、机の前に座らされるとベットの半分が血塗れになっていた。あの焼けるような痛みで全く気づかなかったが、凄まじい惨状だった。あの痛みがフラッシュバックして、目眩がする。

『ごめんね、まさかあそこまで痛みを伴うものだとは思ってなかったの。』
「…嘘」
『本当だよ！流石にそこまで性格腐ってないし。でも、後悔はない！やって正解だったと思う！』

もう話すのも疲れる。後悔がないと言っている時点で性格が腐ってるのに気づかないのか。

『まあまあ、暫くはその生活楽しんでね！』

笑いながらそんな事を言う。いろいろな気持ちを目で向ければ、おお怖い！なんて言いながら、上機嫌でシーツをごみ袋に入れていく。

『うーん、ベットにまで染みてるね…別の部屋に移動しよっか！』
「おいっ、」
『大人しくしてて。面倒臭い。』

足枷が取れたと思ったら、姫抱きをされる。急な事に脚を暴れさせれば、そんな事を言われる。誰でも、年下に運ばれるなんてきついに決まってんだろ。

『あ！ついでにあの人に見せに行こっと！』
「ひっ、」

尋常じゃないスピードで廊下を走り抜けて行くせいで落ちそうになる。容赦がない。

『ねえねえ！見てこの羽！超綺麗じゃない！？結果としては満足だよね！？』
『…うん。大満足だよ…！』