希望、それは戯言。2 (ページ11)

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もう鍵なんてここにはない。これを壊せる程のものもない。大人しくここで待てと？既に可笑しくなりつつある体が、更に可笑しくなる事に頭が締め付けられるような感覚がする。

『あれ？どうしたの？』

ベットの上で頭を抱えていると、ワゴンを引きながら不思議そうにこちらを見つめてくる。

『熱？もないし…ええ、体調悪いならするなって言われてるし…』

体調悪いと実験は不可能？…かなりいい事を聞いた。これからも体調悪い風に装えば、回避出来る可能性がある。

『今よからぬ事考えてたでしょ～！正直に話さないなら、幾らでもやり方はあるけど？』
「…っ頭が、痛いだけ。」
『正直だね！偉い！』

こんな見た目からして自分よりも年下のやつに転がされている自分が惨めでしょうがない。でも、ここで上手くやらないと、あの人達が。

『んー、試して欲しいって言われてた奴どれだっけ…』

頭が痛いと言っているのに、こいつはやる気じゃないか。話が違う。

『よし！このくらいかな！』

そう言って、お盆に10個くらい並べたのをベットに置いて嬉しそうにしている。

『どれがやりたい？まあ、全部試すつもりだけど。』
『羽が生える薬、透明になれる薬…あ！視覚が一時的に異常によくなる薬とか、聴覚が一時的に異常によくなる薬とか！こういうの面白そうじゃん！』

楽しそうに瓶を手に取って俺に見せつけてくる。完全に感性がねじ曲がってる。

『よし、これで決まり！』

そう言って羽が生える薬と書かれた瓶から錠剤を取り出した。人をまるで人形のように扱うこいつの気が知れない。

『これ、飲み薬だからさ！はい、あーん。』
「っ、」
『まあ、怖いか。仕方ないな…』

いきなり鼻を摘まれた。呼吸が苦しくなって、思わず口を開けると薬が放り込まれた。そのまますぐに水を口に流され、飲み込んでしまった。

『即効性だから、すぐに効き目が出るはずだけど…』
「っあ、あ゛！？」

背中が焼けるような熱さに襲われる。ナイフで刺される事など比にならないくらいに痛い。裂けるような突き刺すような痛みがとめどなく襲ってくる

「い゛だ、！！ぐ、あ…っが！！」

目の前がぼやける。早くこの状況から抜け出したい。肩を掴んでいる手に無意識に力が籠るせいで爪が食い込んでいるような気がする。でも、痛みは感じない。背中の方の痛みが強すぎる。嫌だ、嫌だ。

「……っぁあああ゛あ゛！！！」

焼けるような熱さが痛い。苦しい。とめどなく涙が溢れてくる。早く、早くこの痛みから解放させて。