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(安心するでござる。……戻ろうなどとは、思っておらぬよ)
"…………あっそ。まあ、そうなったとしても僕が止めるし、別にいいけど……いいけどさ! 別に!!"
なぜか拗ねる剣を放って、剣心は続けた。
「だが、拙者はやつを倒す。同じ幕末の人斬り同士……これは拙者にとって、避けて通れぬ戦いでござる……!」
「……なんか、俺の出る幕じゃねえみてえだな」
頬を掻き掻き、左之助は苦笑した。
「左之、頼みがある。薫殿に伝えてくれ」
◆
朝。
「すう……すう……」
縁側で涎を垂らして寝る者がいた。薫だ。
「………年頃の女が見せていい顔じゃねえな……」
呆れて顔をのぞき込むのは左之助だ。竹箒を片手に、弥彦が振り返る。
「昨日剣心が心配で眠れなかったみたいだぜ」
なるほどね、と息を吐いて、左之助は薫の口に指を突っ込んだ。そのままぐいー、と横に引っ張る。
「うわ、変な顔」
あはは、と指さして弥彦が笑う。けらけら。
ごつん!!!
「おかえり」
「おう、ただいま」
起きた薫に、二人ともたんこぶを作らされてしまった。
「……あれ? 剣心は?」
きょろ、と辺りを見回すが、剣心の姿はない。横から左之助が声をかける。
「剣心なら帰んねえよ」
「「……え?」」
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作者名:アオ | 作成日時:2017年3月3日 17時