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【13】 ページ13

「最強の男を倒すために、俺も本気を出すとしよう。心の一方を自分にかけ……暗示によって力を増す」

「……は。どんな技でも好きなだけ使え。……俺が殺すと言った以上、お前の死は絶対だ」

"剣心! 殺さずはどうした、お前がやつを殺せば薫ちゃんは……!"

(助かるだろうよ)

"そうじゃない! 薫ちゃんは悲しむぞ、人を斬らないと言ったお前を信じたのに、"

(それは死ぬより悪いのか)

"っ……"

頭の中でさえずる鳥を黙らせて、刀を鞘へと。

「来い。抜刀斎の名の由来、味わわせてやる」

頭の中は、こいつを殺すことでいっぱいだ。

刃衛はなにやら考え込んでいる。虚空を見つめて、分析でもしているのだろう。

無駄なことだ。

演算を終え、構え直した刃衛が雄叫びを上げて向かってくる。

「勝負だ、抜刀斎いぃぃい!!!」

間合いに踏み込まれた。剣を抜く。

ジャギィンッ!!

避けられる。

抜刀術は一撃必殺の技。放った後は無防備になる、言ってしまえば諸刃の剣。

それを知っている刃衛の目が、勝利を確信した。

(馬鹿が)

誰が抜刀術は一回だけだと決めた? 誰が抜刀術を鞘でやってはいけないと決めた?

空いた手で鞘をつかむ。勢いのままに振り抜く。


ゴキャッ……。

入った。腕だ。

「逆刃刀が抜刀術に向かないなど百も承知さ」

体制を立て直して、地べたに転がった刃衛を踏みつける。

「抜刀術の全てを極めた。それが抜刀斎の名の由来だ」

鞘で関節を折って筋を絶った。

こいつの剣の道はもう終わりだ。冷めた頭で考えた。

「……これで、お前の命も終わりだ」

逆刃刀を返す。

刀を振り上げた剣心の瞳は、ぎらぎらと剣呑な金色に光っていた。

本気。

彼は本気でこの男を殺す気だ。

"ま、待て、待てよ剣心"

思わず声が震える。この時代に来てから少し戦闘狂じみてきた僕だが、殺しを楽しんでいるわけでは断じてない。

いくらなんでも、殺すのは。そう思って震える声を絞り出したけれど、返事は返ってこなかった。

"剣心、聞けよ……剣心! ……クソッ!"

反応はない。

仕方ない。



これだけは使わないようにしていたけれど、もう仕方ない。僕のせいじゃないからな。責めても反省しないからな。

心の中で悪態と言い訳をして、僕は神経の糸を手繰るように集中した。

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作者名:アオ | 作成日時:2017年3月3日 17時

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