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二話 ページ3

ザクザクと地面を踏む音と
カランコロンと高い下駄の音がする。



『酔いは覚めたかい?』

「あぁ…少しな」


たわいもない会話を繰り広げる。


虫の鳴き声も、風の音もまるで無いこの道は見知った場所には感じられない。


鼻の頭を少し赤くした男はそう思っていた。


『今日は、何があっても外に出るんじゃないよ』


彼のその言葉にも不安を煽られる。

そんな心を表すかのように、ぽつぽつと雨が降り始めた。


『そんな顔してんじゃないよ。

雨は良いさ…全部洗い流してくれる』


何のことを言っているのかさっぱりだ。


「?それって…??」
『ほら灯りがついてるよ。
家では皆待ってんだ。

アンタが必要なんだよ。』


凛としたその声につられて、背筋が伸びる。


『奥さん、アンタの旦那を連れてきたよ。


大丈夫、怪我も何もありゃしないさ』



家の中から出てきた女が、何度も頭を下げて礼を述べる。


『いいんだよ。
もう、二度と喧嘩なんかするんじゃないよ?



アンタも、簡単に家を出るんじゃないよ』



何故、彼と妻が顔見知りなのか

酔いが残るその頭ではとてもじゃないが答えは出せなかった。


『今日は、ゆっくり家で休んで
しっかり話し合いをしな』


あと…今晩は家から出ないことだよ。


そう最後に残すと、鮮やかな紅色の傘をさし
先生はその家を後にしたのだった。


大人しかった雨は、滝のように降り注いでいた。















普段は賑やかなその場所には、不穏な空気が立ち込めていた。



ガサゴソと背後から草や木をかき分ける音がした。




「やっぱりかァ…どうりで美味そうな香り(におい)がすると思ったぜ。

稀血かァ???」




その声の主に目を向けることなく立ち止まった彼は
二度、扇子を鳴らした。

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海馬 香鷹(プロフ) - 刹那さん» ありがとうございます!亀更新ですが、私なりに頑張りますのでよろしくお願いします……っ! (2019年9月23日 22時) (レス) id: 9428df9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 面白かったです!!続き待ってます! (2019年9月21日 19時) (レス) id: 48a49b3a4b (このIDを非表示/違反報告)
海馬 香鷹(プロフ) - 天神人狼さん» ありがとうございます!これからもどうぞよろしくお願いします……! (2019年9月17日 23時) (レス) id: 9428df9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
海馬 香鷹(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございますっ! (2019年9月17日 23時) (レス) id: 9428df9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
天神人狼 - あー………好きです(突然の告白)待ってます! (2019年9月17日 21時) (レス) id: fb4ece15fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海馬 香鷹 | 作成日時:2019年9月16日 17時

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