貴「なあオロチ、俺達ってもう結婚してるも同然だよな。だから今日からお前天宮オロチな」ﾄﾞﾔｧｧ←オロチ「そうですかくたばれ。」【第三段】

涙 ページ27

パリィ……ン


「オロチ……ッ」


Aが身を守るため、咄嗟に首元に展開した紫水晶の盾を、オロチの瑠璃色の護符が貫いた。


弾ける雫は涙と混ざり合い、溶けて地面に落ちたその場所から次々と花が乱れ咲く。


オロチは水晶を貫いた符はそのままに、新たに新しい術を展開させる。


オロチ「追縛……龍之護符！」


Aの身体を取り囲むように浮かび上がった空色の護符が、連鎖的に魔方陣を展開させては弾けて消え行く。


煌めく光の微粒子がAの身体を包み、刹那目が眩む程の光を放ち消える。


「オロチ……」


オロチ「…A」


白く輝く曼珠沙華(まんじゅしゃげ)の花畑に双人。


どちらからともなく繋いだ手が、ほのかな暖かさを纏っていた。


「オロチ…俺、どうなるん」


オロチ「…安心しろ、邪気を祓っただけだ。祓い終わったら魂を、器…琥珀に戻せば＿」


キュッ…


オロチ「………A？」


「……やだ…」


オロチの着物を弱々しく握り、消え入りそうな声でAはそう呟いた。


「俺がいい……」


オロチ「どうした、A…」


オロチの鈍感で純粋な言葉に、とうとう痺れを切らしたAは声を荒げた。


「例え半身だとしても、アイツに…琥珀にお前を取られるのが、嫌なんだ…！ッ…オロチの側に、俺として＿『A』として居たいんだ…俺は…俺は……ッ」


オロチ「……！」


「…俺…ずっと…独りで、寂しかったんだからな……お、お前は…皆が居たから、良かったけど、俺ずっと独りぼっちで……だから、これから…は、ずっと、一緒に居て…ほ…しい……」


泣きじゃくりながらそう訴えるAの心情を、今やっと理解することが出来たオロチ。


躊躇うことなくAの腕を引き、半ば強引にキツく抱き締めた。


オロチ「…ごめん…ごめんA…お前がそんなに思い詰めてたなんて知らずに、お前の事忘れてて…本当ごめん。もう絶対、独りになんてさせない」


「………………オロチ…………ちょっと違う………」


オロチ「えっ？」


バーカ、と軽く笑い、Aもオロチを抱き締めた。


刹那、Aの体が脚から光に包まれ消えて行く。


「…一旦、お別れな…」


オロチ「そうだな………A」


「オロチ……」





『愛してる』

fin.

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