179,*魔力の小鳥* ページ35
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オリヴィアが部屋を出てから、Aはしばらくボーっとしていた。
自分の気持ちに気が付いてしまったのだ。
団長・メリオダスが"好き"だという気持ち…。
しかし今の状況で気付いてしまうとは何と不運なことか、とAは感じた。
メリオダスに向けられた視線。
それは疑惑の視線。
自身が人を殺した事を真意かと疑う視線。
確かに彼女は今まで、七つの大罪たちの前で人を殺したことは多々あった。
しかしそれはまだ彼女が心を開いて居ないときであり。
笑顔を見せないときであった。
七つの大罪たちと打ち解け、彼女にとって彼らが大切な存在になってから、
彼女は彼らの目の前で人を殺したことはなかった。
どんなに悪事を働いた人間でも、腐った貴族であろうと、
彼女は殺しはしなかった。
なのに、彼に、メリオダスに見られたのだ。
人を殺してしまった事後を、血の付いた剣を。
お前がやったのか、そう聞かれて「違う」と反論できなかった。
Aの中には今になって後悔の情が溢れていた。
貴「__?」
ふと微量の魔力を感じ、窓を見るA。
日が射し込む窓を開くと、小鳥が近付いてきた。
__否、それはただの小鳥ではなかった。
小鳥の形を成した魔力、だというべきだろうか。
口に銜えてある紙切れのようなものを受け取る。
貴「これは…。」
紙切れには文字が書かれていた。
"私たちは貴方を信じています。"
一行でそう書かれていた。
その文字を見て、Aの瞳から一粒の雫がポロっと落ちた。
"私たち"、"信じています"。
その単語を何度も読み返す。
淡々とした綺麗な文字。
しかしとても力強く、思いの篭った文字。
Aにこの魔力の正体は分かっている。
____(人1)の魔力。
そしてこの言葉は、(人1)だけでなく七つの大罪みんなの気持ちが篭った文字。
(人1)は嘘をつく子じゃない、そう思ったAはこの言葉が全員の思っていることなのだと感じた。
つまり、メリオオダスも、七つの大罪の団員たちも、
誰一人としてAを責めていない。
全員が帰りを待っているのだ、と。
Aは震える手でペンを取り、その紙の裏にある言葉を書き、
小鳥に銜えさせる。
飛び去る小鳥を見るAの目は、何かを決心したような目だった。
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紫芋(プロフ) - ナナさん» コメント有難うございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです!あれ?涙が…… どうぞこれからも宜しくお願いします! (2017年12月31日 18時) (レス) id: 19cb37bfcb (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 続編おめでとう!Part1から見てるけど面白さが尽きない!これからも頑張ってください! (2017年12月31日 14時) (レス) id: 55d3e49f96 (このIDを非表示/違反報告)
紫芋(プロフ) - 早苗さん» ありがとうございます!最近学校行事で、色々と忙しくなってしまっていて… 亀更新ですが、どうぞこれからもよろしくお願いします! (2016年11月9日 23時) (レス) id: 262404c03e (このIDを非表示/違反報告)
早苗(プロフ) - おめでとうございます! 続き楽しみにしてます (2016年11月9日 1時) (レス) id: d2df675d35 (このIDを非表示/違反報告)
紫芋(プロフ) - ARISU☆さん» ありがとうございます!^^ 亀更新になるかもしれませんが、頑張ります! 期待してくださるなんて…! 凄く嬉しいです! (2016年10月3日 20時) (レス) id: 262404c03e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫芋 | 作成日時:2016年8月20日 23時