魔法が溶ける前に2【佐野玲於】 (ページ1)

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間違った人と結ばれてしまわないように、

変な虫をAに近づけない。

これだって大事な仕事。

Aかどこの誰に好意をもっているのかは分からないけど、

とにかくそいつは運命の相手ではないから、

追い払わなくてはいけない。

だけどそれが誰かわからない。

それなら、俺に惚れさせればいい。

Aが運命の相手と出会う頃にはいなくなって、
もう会えなくなる俺は"代わり"にもってこいだ。

だから俺はAをクリスマスデートに誘って

ここでグーグル先生に教えて頂いた、

"女性が思わず惚れる行動"

を実践しようではないかという計画、

だったのに。

今日のためにいつもよりも時間をかけて準備して

俺を呼びに来たAを迂闊にも可愛いと思ってしまったから調子が狂った。

フレグランスミストを使ったのか、
いつもと違う香りのするAの横にいるだけでドキドキして。

頑張れ俺！

グーグル先生の仰せの通りに！

そう自分に言い聞かせて、

深く息を吸い込みながらマンションのエントランスを出た。