魔法が溶ける前に2【佐野玲於】 (ページ11)

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最近レオのすべての行動がおかしい。

ソファーで隣に座ってテレビを見ようとすれば慌てていなくなるし、

ご飯食べる時だって目も合わせてくれない。

デートの後からこれなんてさ、私なにかしちゃったかな？

好きな人に避けられるってツライ。

レオ、？最近なんかおかしくない？

喉から出かけた言葉は声にならなくて、

空気のようにすっと消えた。

いつだってそう。

相手の心を深読みしすぎて、踏み込むことができない。

私に誰にも打ち明けられない過去があったように、

人に言いたくないことのひとつやふたつ、
誰にでもある。

そこに踏み込んで嫌われるくらいなら、このままの方がまだいいとまで思ってしまう。

私はいつから、毒を吐きながらもなんだかんだ優しい"同居人"がいなきゃ淋しいなんて思っちゃうような

欲張りな女になったんだろう。

それに、私のことこんなに欲張りな女にしておいて、
レオはもうすぐ家を出て行くんだよ？私を置いて。

レオといられる時間は限られてるのに、
こんな関係のままなんて嫌だよ。

「今日、帰りたくないな」

そんなこと思うのは初めてだったけど、
今は少しだけ、ひとりの時間が欲しい。

今日、家帰れません。

レオにそれだけメッセージを残して、

会社からそう遠くないビジネスホテルに向かった。