317 ページ17
.
心臓を引き裂かれるような感傷。
首でも絞められているかのような窒息感。
この少女は今、いったいどんな顔をしているのだろう。
『ぜんぶ…、みおとして……なにも………まもれ………＿＿＿＿』
中途半端に声は途切れ、Aの身体から完全に力が抜けた。
「A…………っ」
泣きそうな声でAの肩に触れようとした燈矢の両手が、空を掴む。
Aを支えていた廻が、Aごとその場に崩れ落ちたのだ。
ここで初めて廻の存在を認識した燈矢は瞬時に驚きと警戒を抱き、しかし、Aに怪我がないよう自らの身体を下敷きにして倒れた廻を見れば、その警戒が無用なものだと直ぐに分かった。
Aの口元に耳を寄せ、その呼吸音を確認する廻の表情を見れば、彼がこの少女をどれほど大切に思っているのかなど、きっと誰にだって容易に分かる。
「あんたは……誰……？」
だからこそ燈矢は、Aに対して自分とよく似た想いを抱えるこの少年と、Aとの関係性が知りたかった。
燈矢の声掛けに、廻は顔をAに向けたまま目線だけを動かして、
「それを聞きたいのは俺の方だ。お前こそ、こいつとはどういう関係なんだ」
明らかに好意的とは言い難い声音。
ただでさえAの負傷の原因でもある燈矢には色々と思うところがあったというのに、ヒーロー活動の一環で保護された一般市民Aくらいに捉えていた少年が、Aとやたら親し気な仲である事を見せつけられた直後なのだ。
先程まではAに免じて面会の邪魔をしないでおいてあげたものの、廻は内心ちっとも面白くなどなかった。
Aに向けていた視線と自分に向けられた視線の落差に面喰らい、燈矢の表情が僅かに曇る。
「最初に聞いたのは俺の方＿＿＿＿」
「俺は、瀕死のお前を治療してやった大恩人だ。これ以上の説明がまだ何か必要か？」
被せるように告げられた端的な説明に、燈矢は瞠目して押し黙った。
「……Aの治療も、あんたが？」
やや間を置いて投げられた質問に、「聞くまでもないだろ」と廻が答える。
「俺の両手はこいつのためにあるんでな。お前はただのそのついでだ」
＿＿＿
朝八時から近所のマンションでやってた改装工事がやっと終わったっぽいので今から頑張ります。
多分百デシベル余裕で超えてて耳も頭もやられました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 942人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メケメケ(プロフ) - ねねさん» ねねさ〜〜ん！！ありがとうございます！何かしらお力になれてるだなんて嬉しいです！なるべく早く書き始められるよう、やるべき課題をちゃっちゃと片付けて来ますね！笑 (1月25日 23時) (
レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - めろさん» NARUTO履修者、意外と少ない気がしていたので嬉しいです！！🤝 NARUTOとヒロアカは最高ですよね！！じっくり丁寧に書いてるので、確かに原作軸までまだまだ遠そうです笑 ありがとうございます！続きも頑張ります〜！ (1月25日 23時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 7章完結おめでとうございます！！！こちらこそメケメケさんのおかげで学校でも頑張れています！！早く見たすぎて衝動が出てしまうのですが…笑これからも応援させていただきます！！ (1月25日 17時) (レス) @page50 id: 85be73129f (このIDを非表示/違反報告)
めろ(プロフ) - NARUTOもヒロアカも大好きな私には美味しすぎる作品でゆっくり読むつもりが一気に読んじゃいました🥹！！！！！！続きも楽しみにしてます！！！！！原作軸に行くまでまだまだ長そうですが一生着いていきます🤝🏻！ (1月25日 4時) (レス) id: a428350e37 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - ねねさん» 嬉しかったしお陰で更新頑張れました！�┥呂砲發爾劼爾劼�付き合いください！😊 (1月22日 23時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メケメケ | 作成日時：2024年1月5日 14時
