烏天狗と優しさと ページ39
ーA sideー
目が覚めたら、まずニノと目が合って
ニノは持ってたタオルを落として、
泣きながら「このバカ！」って抱きついてきた。
そしたら、ニノの声を聞いたみんなが集まってきてAちゃんが「よかったぁぁ」って涙をぼろぼろ流しながら抱きついてきて
翔ちゃんも、松潤も、大ちゃんも
よかったよかったって俺の頭を撫でて、肩を叩いて
あぁ。生きてる。
そう実感した時には、俺もわんわん泣いていた。
．
．
．
あの時。
いつもみたいに烏天狗達が襲いかかってきた時。
いつもみたいに風で木の葉を舞いあげて、目くらましをして逃げようとした。
でも、なんだか胸がザワザワってした。
覚えのある感覚だったよ。
あれは、“恐怖”。
強いものに対する恐怖だった。
咄嗟に身体を捻って後ろを振り返ったらね、
烏天狗族の、たぶん偉いとこのやつなんだろうけど
今まで見たこともない呪術を放ってきた。
たまに呪術も受けたことはあったんだけど
そんなの比にならないくらい、
強い、呪い。
『やったぞ！ついに我らは忌み子を殺した！』
まだオレにトドメもさしてないのに
烏天狗達は去っていった。
そうだよね。
こんなにも強い呪いをかけたんだもん。
身体が燃えるように熱くて、
雷にうたれたみたいに痛くて、
動けなくて
あっ、俺。死ぬんだって思った。
怖かった。
怖いのにどうしようもなくて、
そのまま意識が遠のいた。
．
．
ふと、目が覚めたら見覚えのある道で
俺は倒れてた。
襲われたのは、確か、裏山だったのに…？
そんなことを考えてたら、ニノの声がした。
珍しいくらいに、かすれてた。
和「お前、どうしたの、その傷。その呪い。
誰に襲われた？どこのどいつが…そんな…」
大丈夫だから。
そう言いたいのに声も出なくて。
ごめん、二ノ。
ごめんね……
また、意識が遠のいていく。
迷惑かけないって言ってたのに
ごめん。ごめん。
みんな、ごめんね…
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作者名：じぇりー x他1人 | 作成日時：2015年3月6日 15時
