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トウリ『タロウが殺されたと聞いたのはつい先日のことじゃ。…悔しかった。恩人になんの恩返しも出来んかった。儂は悪戯に年を重ねただけの未熟モノじゃ』
狸さん、もとい、トウリさんは
どこか一点を見つめたまま言葉を紡ぎ終えた。
その瞳の奥に、静かに燃える青い炎が見えた気がした。
トウリ『さて、儂の話はこれで終いだ。
何か聞きたいことがあれば答えよう』
「あの…」と、控えめに翔が口を開いた。
翔「《人型の女ならば待遇がいい》という噂は、太郎さんの娘さんや、Aがここに来やすいようにしたかったからですよね」
トウリさんの眉がピクッと動いた。
翔「それからこの診療所。外観と内装に少しズレがあるようにも感じました。隠し通路がありますよね？
そこから今まで殺されたと思わせていた妖たちを外へ逃がしていたんですね」
トウリ『…そう。医術を扱えるモノは殆どおらん。希少なんじゃ。
たまに自分たちの種族専門の医師になれと脅してくる連中もおってな、なめられるわけにはいかんから“恐ろしいが腕の立つ医師”と思わせるためには、仕方なかった」
ふぅ。と、小さく溢れた溜息に
トウリさんがお医者さんになってからの苦労が混じってるような気がした。
「あの…」
トウリさんが私を見つめてる。
あの青い炎はまだ、静かに燃えている。
「トウリさんは。誰がおじいちゃんを殺したのか分かりませんか？」
その刹那、
静かに燃えていた炎が揺れた。
酷く動揺してる。
トウリさんは、手をグッと握りしめて
私、翔、カズの顔を順に見たあと、重々しく口を開けた。
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トウリ『お前たちは、《日本三大悪妖怪》と呼ばれている大妖怪を知っておるか？』
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作者名：じぇりー x他1人 | 作成日時：2015年3月6日 15時
