狭間に生きるモノたち参【ars 妖怪】 (ページ4)

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『アイツだ』

｢うわぁぁ……｣

隆起した土の上に立つ蛙。

私たちを見下ろして、ゲコゲコ笑ってる。

“チビ助。大人しくその小娘を渡せ”

『チビ助いうな蛙!!』

“見栄をはるなチビ助。
主の雷、我は効かぬ”

ああ…
ほっぺた膨らんでるぅ…
テカテカしてるぅ…
(見た感じ)ヌメヌメしてるぅ…

私、両生類嫌いなのに…

｢おぇぇ…｣

『大丈夫か!?どっかうったか？』

｢精神的ダメージが…｣

『は!?』

｢いや、何でもないから早く倒そう｣

『倒そうってお前』

｢大丈夫!!｣

ポケットから水の札を取り出して、素早く蛙に投げつけた。

御札は蛙の足場の土を崩し、そのまま蛙全体を包み込んだ。

『お前なにしてんだ!!
アイツ蛙だぞ!?水中生活してるんだぞ!?』

｢あれね、周りに水の結界張ってるの｣

雷獣くんが黙った。

きっと私が何をしたいか、分かったんだ。

『お前水しか操れないのか？』

｢分かんない。
一応普通の結界も練習してるけど成功したことない｣

『じゃあ駄目だ。巻き込んじまう!!』

雷獣くんの叫びと同時に
蛙を包み込んでた水に土が入り込んでいった。

蛙も、私がなにをしようとしてるか気づいたんだ。

｢いいから早く!!｣

『でも…』

この間にも、蛙は土を水の中に取り込んでいってる。

もう、だいふ水が濁って中の蛙の姿が見えない。

｢雷獣くん!!!｣

『オイラ、オイラ…』

.

.

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その時、
止んでいた雨が

また降り始めた。