検索窓
今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:36,526 hit

「__の想い」 ページ44

side無し

暗い、暗ぁい闇の中。

そこに、少女は立っていた。

眉間にキュッと小さく皺を寄せながら。
彼女が見つめる目の前には、彼女に良く似た吊り長の瞳のまだ女性になり切れていない少女。
はてさて、不思議な事に二人はよぉく似ているというのに髪と目の色がとんと違うのだ。

彼女は純白の綺麗な髪だというのに、少女の方はどうだ。
まるで血を塗ったくったような赤色じゃないか。
それでも地毛に見えるのだから不思議な物だ。

起きて、起きてと彼女は言う。
まるで何かに焦るように。

?『…ねぇ。
起きてよ。
アンタが死んだら、私も消滅するんだからさ』

ツン、と彼女の白い指が少女の額を啄く。
それでも少女は目を開けない。
少女は、糸らしき物に吊るされていた。

サラサラと、風も無いのに少女の赤髪が揺れる。

まるで、死んでしまったかのように。
マリオネットの人形の様に、少女は糸に吊るされ揺れていた。
まるで創作の中のように、尚も少女は操られ傷付けられて行くのか。

嗚呼、何と滑稽な事か。

その為だけに彼女は生まれただけでは無いのに。
まるで道具の様に少女は使い潰されて行くという事なのか。
そんなのあまりにも酷過ぎる。

ヘニョリと、彼女は形の良い眉を下げ悲しそうにその"紅い"瞳を細めた。

?『…なぁ、頑張ろうよ?
酷な事を言ってるのは理解してる。
……私はアンタの"世界"からしか応援出来ないけどさ。
アンタが決めた道だよ。
アンタだけしか歩けない、アンタだけの道何だからさ。
例えそれが茨の道だったとしても、そこに道はあるのだから』

それでも、少女は目覚めない。
目覚めようとしない。
まるで自分の殻に閉じこもってしまった様に、動こうとはしない。

彼女と少女がいるところだけ、スポットライトの様に淡く光り輝いていた。
つまり、彼女はまだ諦めていない。
それどころか、光は広がっていく。

キリ、と糸が動く。

ゆっくり、ゆっくり顔が上げられていく。

その金色の瞳は、少しも光を失ってはいなかった。
だが不思議なことに、その金色の瞳の中には発破を掛ける彼女は何処にも写ってはいなかった。
それでも、彼女はそこにいた。

ゆっくりと、口が開かれる。

──『…"弟と妹"を守りに行こう』

その言葉を皮切りに、"世界"は光で包まれた。
辺りに椛の赤が舞う。
血の色何かじゃない、"彼女"のその髪は秋の色だった。

ふ、と安心したような顔で彼女が微笑む

?「……頑張って、"お姉ちゃん"」

彼女の隣には、二人に良く似た顔付きの白銀の髪をした少女が立っていた。
そして彼女の意識は引っ張られ──。

八十二話「爆血/炎華」→←八十一話「気絶」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
53人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ハルサ(プロフ) - 初めまして!読んで頂きありがとうございました!そうですね、まだ読まれてない方もいますし…私が浅はかでした、ありがとうございますm(_ _)m (2020年4月14日 17時) (レス) id: d6c0176894 (このIDを非表示/違反報告)
mayumi(プロフ) - ハルサさん初めましてmayumiです。【鬼滅の刃】獄卒珍道中【弐】での息抜き読ませて貰いました!本誌の方・・・ネタバレにもなりますがまだおばみつが●んだという描写まだはっきりしていません!あまり読まれていない人もいるので控えた方がいいと思います。 (2020年4月14日 15時) (レス) id: cebdef8e2f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ハルサ | 作成日時:2020年4月7日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。