七十四話「蜘蛛の毒」 ページ36
紅葉side
ん…？ちょっと待って……。
身を捩りかけた途中で、ハタと動きを止めた。
この気配…我妻君だ……！竈門君達の気配と離れてる…遅れて入山したのか…！
ざわざわと、胸騒ぎがする。
『…ッ！』
風がビュウビュウと吹き、バタバタと自身の赤髪が暴れる。
身体を動かし、足を下にして森に落下した。
ザザザザ、と視界が緑に埋め尽くされる。
『！』
途中、丁度良い太めの枝を見つけた。
それを両足揃えてギシリと踏み付け、その反動で再び空中に舞い上がった。
方角は我妻君の方に向けて、だ。
先程と同じ様に枝を踏み付け跳躍した。
それを何度か繰り返していると、遠くに開けた場所が見えた。
何故か小屋が吊されている。
キラリと、視界の上の方に金色の光が煌めいた。
……我妻君！
鼓屋敷の時と、同じだ。
『ッ！！』
反射的に、重力に任せて落ちてくるそれをしっかりと受け止めた。
その勢いのまま、小屋の平坦な天井に勢いよく着地した。
少し小屋が揺れた。
……私が重い訳じゃないよ？
受け止めたそれは、やはり我妻君だった。
その身体を屋根の上に降ろす。
だが、何か様子がおかしい。
怒っている様子はないのに身体のあちこちに血管の様な物が浮かんでいる。
『我妻君！しっかりしろ！』
揺するのはまずそうだったので、僅かに声を張り上げた。
…吐血、している。
どうやら意識はあるようだ、朦朧としてはいるが。
善「う、あ…紅葉ちゃん……？」
『我妻君！』
善「あぁ、本当に紅葉ちゃんだぁ…。
本物だ、暖かいなぁ……」
二ヘラ、と赤い血が漏れ出す口元が柔らかく歪んだ。
その様子に、思わず眉を顰めた。
毒だ、毒にやられている。
散々鬼灯様の視察に付き合って来たので毒にやられている事はすぐに分かった。
でも現世の鬼の毒については、知らない知識の方が圧倒的に多い。
鬼の気配はしないので、我妻君が頸を切ったみたいだ。
でも、これでは…もう……。
生憎だが薬は持ち合わせが無い。
しかも、屋根の上に付いた手に触れる彼の羽織りの袖の中はスカスカだ。
多分手当が縮んでいるのだろう。
全く悪趣味な毒だ。
善「紅葉ちゃん、俺…」
『もういい、君は喋るな！必ず助ける、から……』
最後の方で言葉が窄む。
助ける？助けるって何だ？薬も持ってないのに？
……無責任過ぎるだろ。
思わずギリ、と歯を噛み締める。
？「あらあら、何だか大変な事になってますね？」
ふと、凛とした声がこの重い空間に響いた。
思わずバッと振り返ると、蝶の髪飾りをした綺麗なお姉さんがニコニコしながら立っていた。
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ハルサ(プロフ) - 初めまして！読んで頂きありがとうございました！そうですね、まだ読まれてない方もいますし…私が浅はかでした、ありがとうございますm(_ _)m (2020年4月14日 17時) (
レス) id: d6c0176894 (このIDを非表示/違反報告)
mayumi(プロフ) - ハルサさん初めましてmayumiです。【鬼滅の刃】獄卒珍道中【弐】での息抜き読ませて貰いました！本誌の方・・・ネタバレにもなりますがまだおばみつが●んだという描写まだはっきりしていません！あまり読まれていない人もいるので控えた方がいいと思います。 (2020年4月14日 15時) (レス) id: cebdef8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハルサ | 作成日時：2020年4月7日 13時
