七十話「旅立ちと那蜘蛛山」 ページ32
紅葉side
医「完治です」
『…おぉ』
お医者さんが言ったその言葉に、思わず感慨の声と共にホッと胸を撫で下ろす。
肋骨はもう軋まないし痛くもない。
腕の罅もすぐ治った。
大体竈門君達と同じ時期に治った。
鬼(地獄版)の治癒能力様々である。
藤の花の家紋の家に入ってから丁度数日後の朝であった。
あれ以上鬼を屠ってたら、上弦の弍とあのお姉さんの時のようにぶっ倒れる自信があったので休めて本当に良かった。
あの時は木霊さんがエッサエッサと運んでくれたようだ。
申し訳ない。
◇◇◇
禰「むーむ!」
『あら禰豆子ちゃん、おはよう。
今日は出立だよ。
頑張ろうね』
禰「む!」
こっくりと頷く禰豆子ちゃんに、ふっと微笑む。
シュルリと着物の帯を取り出し、キュッと腰に巻き付けた。
羽織りは……お姉さんに貸したままだから気にしないとして。
さて……出立の時間だ。
◇◇◇
ひ「いってらしゃいませ、鬼狩り様」
竈門君がお礼をしたのを横目で見て、それに合わせて私もおばあさんにお辞儀をする。
たった数日ぽっちだったが、随分尽くしてくれたものだ。
次の任務地は北北東の山、らしい。
那蜘蛛山、というらしい。
何だか不気味な名前だ。
切り火をしてくれるというので、竈門君と我妻君に合わせて後ろを向くと唐突に嘴平君が騒ぎ始めた。
ご丁寧にB☆B☆Aと言って。
怒られるぞ君。
道中で竈門君の知恵袋が発動したり、嘴平君が太い木の幹に突進したりしたが順調に旅路を進んだのだった。
そして、夕焼けも白み始める頃。
私達は那蜘蛛山の前に到着した。
ざわざわと肌が逆立つような、嫌な気配が漂ってくる。
虫の匂いと、後これは……?
善「待ってくれ!ちょっと待ってくれないか!!」
『んぉ、どうした我妻君?何か見付けた?』
善「怖いんだァ!これ以上前に進むのがとても怖い!」
『あぁ、うん』
やっぱりいつもの我妻君だ。
嘴平君が気持ち悪いと言っていたが、二人とも大概なのは気のせいだろうか。
耳のいい我妻君はもう既に嫌な音を感じ取ってるらしく、怯えた様に那蜘蛛山を指さした。
『んー…確かに嫌な気配は感じるけど……行くしかないでしょう?
その為に我妻君は鬼狩りになったんだから』
善「ヤダイケメン……(トゥンク)結婚しよ?」
『や、無理』
善「即答…いや分かってたけどね?うん」
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ハルサ(プロフ) - 初めまして!読んで頂きありがとうございました!そうですね、まだ読まれてない方もいますし…私が浅はかでした、ありがとうございますm(_ _)m (2020年4月14日 17時) (レス) id: d6c0176894 (このIDを非表示/違反報告)
mayumi(プロフ) - ハルサさん初めましてmayumiです。【鬼滅の刃】獄卒珍道中【弐】での息抜き読ませて貰いました!本誌の方・・・ネタバレにもなりますがまだおばみつが●んだという描写まだはっきりしていません!あまり読まれていない人もいるので控えた方がいいと思います。 (2020年4月14日 15時) (レス) id: cebdef8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハルサ | 作成日時:2020年4月7日 13時