【鬼滅の刃×twst】僕に近付かないでおくれ。伍【過去編】

まだ続く。 ページ9

side無し

まぁ、私が弱かっただけなんだけどね。

ポツリ、呟かれた言葉に確かに彼女を拒絶したサバナクローの寮長と寮生はうっぷと口元を抑えた。
心做しか獣の尻尾と耳がへにょ…と垂れ下がっている気がする。
そんな彼らにその場に居合わせていた保健医のカエデが軽蔑の視線を送る。

『食堂での事なんだが…私は肉が喰えないんだ。
アレルギーという訳では無く、本当に肉が無理なんだ。
自身の親族をぐちゃぐちゃと貪り食う鬼の姿が鮮明に思い浮かんでしまうから。
要するにトラウマ、だな。
肉を喰ったらどう頑張っても吐いてしまう。
トラウマになったその日から、肉を喰えた試しが無い。
本当に申し訳ないとは思うが、君達は食べる度吐いてしまう食べ物を口に突っ込まれたら耐えられると思うか？つまりそういう事さ』

サバナクローの生徒数人が口を抑えてトイレに駆け出した。
全員お昼に肉料理をガッツリ食した者である。
しかし、お忘れだろうか───体育館内の全てのドアには、閉鎖の魔法がかかっていた事を。
満員で入れなくなった一部の生徒は絶望に喘いでいたが、学園長が｢吐瀉物はちゃんとその場で魔法によって処理されますよ♪｣と声高々に告げていた。

つまりはその場でリバースしろという事である。

このカラス正気かと思ったが、流石に喉をせり上がる吐き気には耐えられない。
結果的に聞くに絶えない嘔吐音が響く中、鏡花は完全に冷え切った目でその者らを見ていた。
冷えっ冷えである。
キンキンに冷えている。

閑話休題

ある程度場が落ち着き(全然落ち着いてないが)、トイレに猛ダッシュした生徒が全員列に戻った鏡花はまた再度口を開いた。
もう終わりにして欲しい、と哀れな者達は熱望したが悲しいかな背後の巨大スクリーンはまだ一度も稼働してはいない。

つまりこれ以上の物が待ち構えているという事である。

先の嘔吐により大分疲弊した者達は目眩を覚えた。

『監督生の手を思わず強く振り払ったのは、大切な耳飾りを触られそうになったから。
傍から見たらしょうもないのだろう。
だって、ただの糸で出来た耳飾りなのだから。
しかし………あの耳飾りは、私が世界で一番愛した子の唯一の形見なんだ。
振り払ってしまったのはやり過ぎかと思うが、心を許した人にしか触られたくないんだ』

まぁ、燃やされてしまったがな。
そう沈痛な声色で告げられた言葉に、半数は崩れ落ちた。
先程からピンポイントで一部の生徒が狙い撃ちにされている。

命中率100％、これにはゴルゴ13も笑顔で拍手するレベル。
しかも即死確定なヘッドショット。これは酷い。

地獄はまだまだ終わらない。→←今まで受けてきた仕打ち。

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