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騎士の力。 ページ36

side無し

こうして、無事に鏡花は響の手によって助け出された。

……けれども、それを許す両親達では無かった。
次は無い、今度こそ鏡花は殺されるだろう。




───だが、驚くべき事に───響はあえて、"昼間"から鏡花と交流し始めたのだ。
勿論響の傍には使用人や両親がベタベタとくっついている。
その行動が、許される筈無かった。

龍「……おい、響。
なんだその汚物は?」

『っ……』

ビク、と怯える鏡花を背に隠す響。
響自身が「俺を信じて、姉ちゃん」と意思ある瞳で訴えた為彼女は今ここにいるが、それが無ければ今鏡花は絶対にこの場にはいなかっただろう、断言出来る。
鏡花がいなければ、この"作戦"は成立しない。

響「汚物じゃない、姉ちゃんだ」

龍「父親に逆らうつもりか?」

響「俺は一切合切、アンタを父親と思った事はねぇよ」

龍「ッてめぇ……!!」

『響っ!』

バッ、と手を振り上げる龍次郎。
その拳が響を穿とうとする直前───彼の浅葱色の瞳が、龍次郎の欲に塗れた濁った瞳を射抜いた。





『殴りたきゃ殴れば良い。




"大事な跡継ぎ息子"の質を落としたければね』

龍「ッ……!!」

『響……』

その瞳は、確かな"支配者"の瞳だった。
何事の邂逅さえも許さない、絶対的な王者の瞳。
この時響は、確かに己の父親をも懐柔したのだ。
しかし、それで腐った性根が正される訳も無い。

ギョロ、と濁った瞳が鏡花の方を向いた。

『ヒッ、』と引き攣った悲鳴をあげる鏡花。
先程と同じように龍次郎が拳を振り上げたその瞬間──────!!





龍「……あ?、」


鏡花の前を、響が陣取ったのだ。
目論見通り、響の目と鼻の先で拳が止まる。
後少しでも遅れたら自身が殴られていたのに、響自身は少しも動じる気配が無い。
それどころか、背後の鏡花を守るように腕を水平にあげる始末。



ギ、と年齢にしては鋭い瞳がまるで獣の如く龍次郎を睨む。




響「さっきも言ったけど……俺を殴れば傷がついて、俺の跡継ぎ息子としての価値は暴落する。
"大手呉服屋の立派な跡継ぎ息子"として、今後俺を社交界に引っ張り出すつもりだろう。
違うか?
姉ちゃんを殴ろうとしても、前には俺がいる。
殴っても、俺に被害が行くだけだ。




──────さぁ、どうする?」

今度こそ、→←牢獄。



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ルカ(プロフ) - りあてゃんさん» コメントありがとうございます!てぇてぇ姉弟…。響くんは圧倒的に鏡花ちゃん子なのに使用人と親共に未来は無い(殺意) (2021年2月23日 10時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
りあてゃん - んあ”ぁぁぁ.....響くん良い子!鏡花ちゃんに似てめっちゃ良い子!!もう使用人とか親とかは全力で滅んでくれ、お前らは二人の幸せを邪魔する存在でしかない(( (2021年2月21日 11時) (レス) id: 15f52de452 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます!この家はクソ野郎しかいない……(おい)いつもありがとうございます! (2021年2月17日 22時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 立場を利用してキョウカをいじめる使用人が何よりもムカつきます。旦那サマがやってることは決して良いことではないけど、使用人のやってることはそれ以前に卑怯だと思うんです。 (2021年2月17日 18時) (レス) id: 7c7117969d (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - あなたさん» ありがとうございます!お待たせしてすみません!これからも読んでくれると嬉しいです!! (2021年2月17日 7時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルカ | 作成日時:2021年1月31日 23時

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