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古い出会い。 ページ21

side無し

『……?』

ある夜の事だった。
壁の隅で丸くなって寝ている時、物音とは違う不思議な音を微かに聞き取った。
ムクリと起き上がり、ゴシゴシと目を擦る。

月の、綺麗な夜だった。

月明かりしか見えない宵闇の夜。
しかし、庭に何か人影がある事は分かった。

『……誰?』

?「……っ!!」

ビク、と人影が揺れる。
膝に埋めていた顔が上げられ、膜が張った瞳が怯えたように鏡花を見やった。

?「あ、の…俺は……」

『君、迷子?』

拙く首を傾げる。
そこにいたのは、丁度鏡花と同い年くらいの少年だった。
どうやら迷い込んで来たらしい、庭の木に背を付いて体育座りをしていた。

『…怪我してる』

よく見ないと分からないが、膝を擦りむいており僅かに出血していた。

『ちょっと待ってて』

少し迷ったが、どうやら治療する事にしたようだ。
一旦部屋に戻り、片っ端から包帯等を持ってくる。
自分で治療しようにも、すぐにその傷の上からまた新しく傷を付けられる為最近は何も治療していなかった。
そういう訳で包帯や薬は有り余っていた。

『少し痛むけど、我慢してね』

少年「あ、あぁ…」

困惑する少年を他所に、テキパキと治療を進めていく。

『……ん、』

流石に邪魔だったようだ、長い前髪を耳へと掛ける。

少年「────!」

唐突に現れた綺麗な花緑青の瞳に、少年が息を呑む。
まるで吸い込まれてしまいそうだ。
しかし、治療に夢中な鏡花はそれには気付かない。
あっという間に、少年の膝に包帯を巻き終えた。

『大丈夫?痛くない?』

少年「あ、あぁ!…ありがとう!!」

何だかやけに声の大きい少年だ。
それに釣られたのか、少し遠くの方から少年を呼ぶ声が聞こえてくる。

父親「おーい!××ー!」

少年「あ、父上!!」

途端に、不安そうだった少年の顔がパァッと輝く。
意気揚々と立ち上がり、そして何故か……鏡花の手を掴んだ。

『…?どうしたの?』

少年「あ、いや…その……」

─────少年には見えていたのだ、服の隙間から見える痛々しい傷の数々が。
だからあわよくば保護して貰おうと。
優しい両親なら、きっと…。
そんな淡い願望。

『……私は行けないよ。
ここにいたら、きっと君は殺されてしまう』

少年「!でも……!!」

『でも、そうだね……君がどうしてもと言うなら……私の事を、忘れないで。
どうか、覚えていて。

────また会おうね』





?「あぁ、忘れる訳無いさ…絶対」


鬼殺隊 夜柱 暁鏡花

出身地 東京府 世田谷区 桜丘

最悪で最高の出会い。→←精神崩壊。



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ルカ(プロフ) - りあてゃんさん» コメントありがとうございます!てぇてぇ姉弟…。響くんは圧倒的に鏡花ちゃん子なのに使用人と親共に未来は無い(殺意) (2021年2月23日 10時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
りあてゃん - んあ”ぁぁぁ.....響くん良い子!鏡花ちゃんに似てめっちゃ良い子!!もう使用人とか親とかは全力で滅んでくれ、お前らは二人の幸せを邪魔する存在でしかない(( (2021年2月21日 11時) (レス) id: 15f52de452 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます!この家はクソ野郎しかいない……(おい)いつもありがとうございます! (2021年2月17日 22時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 立場を利用してキョウカをいじめる使用人が何よりもムカつきます。旦那サマがやってることは決して良いことではないけど、使用人のやってることはそれ以前に卑怯だと思うんです。 (2021年2月17日 18時) (レス) id: 7c7117969d (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - あなたさん» ありがとうございます!お待たせしてすみません!これからも読んでくれると嬉しいです!! (2021年2月17日 7時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルカ | 作成日時:2021年1月31日 23時

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