【鬼滅の刃×twst】僕に近付かないでおくれ。弐

寸前の殺人。 ページ32

夢主side

｢───キョウカ｣

『！』

己より上背のある人物に目を塞がれ、空いた片手で抜刀しようとした手を大きな掌で覆い包まれる。
トス、と己の背中が細身だが逞しい胸板に触れる。
黒爪の生えた指の隙間から、ユウ達の姿を隠すように立つマレウスの姿が見えた。

唐突な乱入者に思わず身を固くするが、しかし敵ではない。
下手したらマレウスと同じくらいの上背を持ちそうな後ろの人物に、私は塞がれた目を白黒させた。

はて、こんなに体躯がある人物マレウス以外ディアソムニアに居なかった筈だが──。

しかし、少なからず冷静では無かった私は声で判断する事をすっかり見落としていたのだ。
これは盲点だ。

サラ、と指の隙間から見える柘榴を孕んだ漆黒の髪に───思わず目を見開いた。
そのタイミングで拘束を解かれる。
後ろの人物に背中を付けたまま、顎を引き攣らせ上を見上げた。

予想通り──その人物は、リリアであった。

しかしいつもの小柄な姿とは違う、髪を長く伸ばした大人の姿。

リ｢どうじゃどうじゃ、儂の本来の姿は？そういえばお主に見せるのは初めてであったが、中々にイケメンじゃろう｣

『…それを言うならイケおじでhグェッ』

顎辺りをグイッと持たれ覗き込まれる。
若干ゴキッという音がしたが気にしない事にした。

リ｢儂はまだ現役じゃぞ。
妖精は普通の人間よりも寿命が長いんじゃ。
その分容姿も引っ張られるしの｣

『……この姿のリリアも十分カッコイイぞ』

興奮したせいか若干意識がふわふわしながら、上の言葉をうわ言のように呟く。
しかし紛れもない本心だ。
一瞬柘榴の瞳がぱちぱちと瞬いたと思ったら、次いでゆぅるりと面白そうに細められた。

リ｢くふふ、そう諸手を挙げて褒められると素直に照れてしまうのぅ｣

ぐ、と頭を戻されよしよしと撫でられる。

危険は無いと判断したらしいマレウスが脇にどき、顔を真っ赤にさせたユウと顔を真っ青にさせたオクタヴィネル三人衆が見えた。
どうやら活け造りにするのは免れたようだ。
肉は嫌いだが魚は好きである。

あの三人衆は人魚だと人伝に聞いたので、臓物などがどんな形か気になるものである(サイコパス)

まぁやらんが。

人魚の肉を食べれば不老不死になれるらしいが……まぁ私は不老不死など地雷以外の何者でも無いからな。
最早震えるしか無くなったオクタヴィネル三人衆を呆れの目で見つめて、ふんっと鼻を鳴らした。

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