残り香の狂気。 ページ24
夢主side
『…ん。』
目を開ければ、見覚えのある保健室の天井。
嗚呼、やってしまったのだとぼんやり思った。
腕を顔に乗せ、目を覆い隠す。
『……』
気分が沈む中、ため息をつこうとした瞬間─────耳が壊れたかと錯覚する程の大音量が辺りに響き渡った。
セ「キョウカ──ッッッ!!!!(クソデカボイス)」
『キャ───ッ?!(高音)』
正に早業。
キュウリを後ろに置かれた猫と同じ反応をした私は、気付いたら保健室の天井に逆さまの状態で張り付いていた。
びっくりした、伊之助に悪気なくムカデを見せられた時よりびっくりした。
リ「セベク、怪我人にその大声は堪え……遅かったか。
…で、どういう状況じゃ?」
『僕が知りたい。
ただ反射で飛び退いたらこうなっただけだ』
リ「猫かお主は」
リリアの呆れ顔に心做しかむ、としながら答える。
『僕を獣扱いするのはやめて欲しいね。
確かに猫は好きだが……』
リ「ほぅ、例えばどんな?」
『野盗に襲われた時、速やかに再起不能にした後首根っこ掴んで師範に見せたりだとか…』
リ「猫じゃな」
マ「猫だな」
シ「猫だな」
セ「むむーふがふが!!(訳:離せシルバー僕の口を塞ぐな!!)」
カ「猫だね」
『何だよ皆して…』
むぅ、と眉を顰める。
そしてリリア達はまだしもいたのかカエデ。
雰囲気で悟ったのか「保健医なんだからいるのは当たり前だろ空気か私は」と言われてしまった。
※猫は捕まえた獲物を親しい人物に見せにくる習性があります。
とりあえずこのままじゃ埒が明かないので、クルリと一回転してベッドに着地した。
肩の傷はもうほとんど塞がっていた。
……いつもは記憶も理性も無くなるが、意識はあるのに理性だけが無くなる方が一段と辛いな……しかも記憶は…あれ?
『…すまないリリア、少しいいかい?』
リ「ん?何じゃ?」
『鬼を殺した後…正確には後頭部にコップを投げ付けられた後の記憶が曖昧なのだが……何かあったのかい?』
彼の好奇心に溢れた目から一転、柘榴の瞳が驚愕に見開かれる。
リ「…覚えとらんのか?あの時の事も、先程の会話も……」
『…会話?僕は先程まで眠っていたはずだが……すまない、何か粗相をしてしまったのなら謝るよ』
眉を下げれば、リリアが制止するように片手を突き出した。
リ「いや、いい。
構わぬ。
……覚えとらんのならそれでいい、それで…」
『……?』
どこかやり切れない表情のリリア達に、私は静かに疑念を抱いたのだった。
233人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルカ(プロフ) - 結色緋月@ラムネちゃんセコムさん» 許可ありがとうございます! (2021年1月6日 12時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
結色緋月@ラムネちゃんセコム(プロフ) - 遅くなりました...!素敵と言って貰えて嬉しいです( ´艸`)イラスト載せて全然大丈夫です!これからも頑張ってください!応援してます(*´∀`) (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 結色緋月@ラムネちゃんセコムさん» 凄い素敵です……!!ありがとうございます、めちゃくちゃ嬉しいです!!(*´ω`*)それで一つ質問何ですが、イラスト紹介の際乗せても大丈夫ですかね…? (2021年1月6日 8時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
結色緋月@ラムネちゃんセコム(プロフ) - ルカさん» https://drive.google.com/file/d/1MesneprGFg0OXTbRrHQrkmoDjke1r5MZ/view?usp=drivesdk 描けました...!Googleドライブに入るので多分ダウンロードも出来ると思います!小6クオリティなのでめちゃ下手ですがお許しください<(_ _)>〈 ゴン!〕 (2021年1月4日 15時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 結色緋月@ラムネちゃんセコムさん» ィェ((・ω・*≡*・ω・))ィェ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ルカ | 作成日時:2020年12月20日 16時