鬼殺し、人殺し。 ページ20
夢主side
一撃、二撃、三撃。
両頬を力いっぱい殴る度、そいつの目が虚ろになっていく。
文句ばかり言う口を直接殴れば、そのうち痙攣しかしなくなった。
ピッ、と頬にそいつの返り血が付いた。
……汚らしい。
ギリ、と歯を噛み締めトドメを刺そうと血管が浮かぶほど胸ぐらを掴む手に力を入れたら───寸前でリリアに止められた。
『……何故止めるんだい?リリア』
リ「もうやめろキョウカ!それ以上は人の子が死んでしまう!」
グ、と掴まれた腕に力を入れ振り払おうとすれば……リリアの真っ直ぐな柘榴の瞳が私を射抜いた。
その目には確かな決意が宿っていた。
私を止めんとしようばかりの、強い強い決意。
暫しの沈黙が両者に訪れる。
その結果、最終的に折れたのは───私の方だった。
『…チッ。
分かったよ……今だけは君の言う事を聞くよ』
乱暴に舌打ちを零し、乱雑にそいつを放り投げた。
「ヴッ」という呻き声を零すそいつを尻目に、静かに刀を収めた。
そして……我ながら氷河期かと錯覚するほど冷めた目で、惨めに床に転がったそいつを見下ろす。
「あ、俺は…違、」
『──二度と僕の前に現れるな、汚らわしい化け物が。
リリア、行こう。
もうこの場は収まった、後は先生達に任せよう』
リ「あ、あぁ…」
どこかやり切れない表情のリリアに遠慮がちに背を摩られながら、食堂を退出する。
──と、思ったら…後頭部に強い衝撃を感じた。
パリン、背後で硝子が割れる音がする。
痛む頭を抑え、ゆっくりと振り返る。
『……誰だい?今僕の後頭部に向けて硝子製のコップを投げ付けたのは。
痛いじゃないか』
モブ1「ッ…」
どうやら投げたのは彼らしい。
投げたままのポーズのまま、恐怖心に満ちた目で私を睨んでくる。
見覚えのあるその目に嗚呼、と思った。
リ「ッ、お主……!」
『……まるで化け物を見るような目をしているね。
凄いなぁ、"化け物"が"化け物"に向けて危害を加えるなんて。
…で、申し開きは?』
モブ1「ッ…このクズが、」
『は?』
モブ1「殺人鬼!犯罪者!!お前はあの惨たらしい死体を見なかったのか?!」
ユ「そうですよ!まだ和解の道もあったかもしれないのに殺すなんて酷いじゃないですか!!」
『……』
モブ2「そうだそうだ!それが分かったらさっさとこの学園から出てけ!!」
『……恩知らず共が(ボソリ)
じゃあ、君達はこの傷を見てもそんなことが言えるのかい?』
傍らのリリアに『洗浄魔法を頼む』と小声で告げ───不意に、着られた肩側の服を捲った。
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ルカ(プロフ) - 結色緋月@ラムネちゃんセコムさん» 許可ありがとうございます! (2021年1月6日 12時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
結色緋月@ラムネちゃんセコム(プロフ) - 遅くなりました...!素敵と言って貰えて嬉しいです( ´艸`)イラスト載せて全然大丈夫です!これからも頑張ってください!応援してます(*´∀`) (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 結色緋月@ラムネちゃんセコムさん» 凄い素敵です……!!ありがとうございます、めちゃくちゃ嬉しいです!!(*´ω`*)それで一つ質問何ですが、イラスト紹介の際乗せても大丈夫ですかね…? (2021年1月6日 8時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
結色緋月@ラムネちゃんセコム(プロフ) - ルカさん» https://drive.google.com/file/d/1MesneprGFg0OXTbRrHQrkmoDjke1r5MZ/view?usp=drivesdk 描けました...!Googleドライブに入るので多分ダウンロードも出来ると思います!小6クオリティなのでめちゃ下手ですがお許しください<(_ _)>〈 ゴン!〕 (2021年1月4日 15時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 結色緋月@ラムネちゃんセコムさん» ィェ((・ω・*≡*・ω・))ィェ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルカ | 作成日時:2020年12月20日 16時