邪魔な外野。 ページ18
夢主side
『……』
嗚呼、痛い。
この世界に来てから、初めて感じた確かな痛み。
怪我らしい怪我はあの飛行術の時だが……正直あれは鬼の攻撃では無いのでノーカンだ。
ダラリと血の流れる肩を抑える。
結構深く抉られたようで、抑えた手の隙間からまたドロリと血が溢れ出した。
ツンと香る血の匂い。
ユ「そんな…鏡花さん…私のせいで……!!」
口を抑え、泣きながらフルフルと震えるユウ。
しかし、泣いてはいるものの彼女からはどこか恍惚とした雰囲気が漂ってくる。
どうやら、私に守られ、庇われた事が嬉しいらしい。
それでも本当に申し訳ないとは思ってるらしいが……全く、この少女の頭はどこまで夢見がちなんだか。
『……っ?』
ユウから視線を外し、鬼にもう一撃を食らわそうと踏み出した足が止まる。
……あ、れ?
先程まで冷えていた頭が、急激に熱に浮かされたように暑くなる。
じわ…と熱が染み込む。
──私は、この感覚に見覚えがあった。
まだ平隊士だった頃、己を可愛がってくれていた先輩隊士が無残にも殺されかけた瞬間……頭の中で何かが切れる音がしたと思ったら、恐怖で強ばっていた身体が嘘のように軽くなり……そこからの記憶が全く無くなった。
気付けば、鬼は切り刻まれており……私は虫の息の先輩隊士を抱き締め、静かに項垂れていた。
しのぶによると、殺意と怒りが限界値を超えた時理性のタガが外れ暴走するらしいが……暴走した際の記憶が全く無い為正直なんのこっちゃである。
しかし、その現象は強くなり、柱になるにつれ次第に制御出来るようになっていた。
そもそもそんな事になる前に助け出すことが、柱の私には出来ていた。
だが……今はどうだ。
特に親しい人物を傷付けられたという訳でも無いのに、頭がジリジリと焼かれるように暑い。
私の脳裏に、一つの原因が浮かび上がる。
あぁ……そうか。
永らく鬼を狩っていなかったせいで、突然の遭遇に身体が追い付いていないんだ。
鬼と戦う時、私の周りにはいつも憎悪と殺意が纏わり付いている。
それらが今、身体の中から溢れ出そうで抑え切れないんだ。
しかし──そういう状態に陥る時には決まってプツリと糸が切れたように理性のタガが外れるのに……今は何故か意識がハッキリしている。
それでも、この殺意と憎悪は抑えられそうにない。
『…殺す』
ユ「え?」
コイツヲ、
『オニヲ、コロス』
頭の中で、何かが切れる音がした。
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ルカ(プロフ) - 結色緋月@ラムネちゃんセコムさん» 許可ありがとうございます! (2021年1月6日 12時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
結色緋月@ラムネちゃんセコム(プロフ) - 遅くなりました...!素敵と言って貰えて嬉しいです( ´艸`)イラスト載せて全然大丈夫です!これからも頑張ってください!応援してます(*´∀`) (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 結色緋月@ラムネちゃんセコムさん» 凄い素敵です……!!ありがとうございます、めちゃくちゃ嬉しいです!!(*´ω`*)それで一つ質問何ですが、イラスト紹介の際乗せても大丈夫ですかね…? (2021年1月6日 8時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
結色緋月@ラムネちゃんセコム(プロフ) - ルカさん» https://drive.google.com/file/d/1MesneprGFg0OXTbRrHQrkmoDjke1r5MZ/view?usp=drivesdk 描けました...!Googleドライブに入るので多分ダウンロードも出来ると思います!小6クオリティなのでめちゃ下手ですがお許しください<(_ _)>〈 ゴン!〕 (2021年1月4日 15時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 結色緋月@ラムネちゃんセコムさん» ィェ((・ω・*≡*・ω・))ィェ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルカ | 作成日時:2020年12月20日 16時