過去、目覚め ページ42
side無し
『……ん、』
……ここは?
不意に、瞳を開ける。
あの冷たい路地裏では無く、古ぼけた…しかしどこか温かみのある木の天井が視界に飛び込んできた。
所々隙間が空き光が差し込んでる所を見るに、相当ボロい家のようだ。
手作り感満載なのは多分触れちゃいけない。
ノソリと起き上がると、額に乗せられていた冷たいタオルがずり落ちた。
『……看病、してくれたのでしょうか』
ポソリ、そう呟く。
布団代わりのタオルケットを脇に置き、彼岸はキョロキョロと辺りを見渡す。
まだ僅かな倦怠感はあるが、あの身体の中から焼け付くような筆舌に尽くし難い激痛はもう無い。
壁の端に梯子がかけられている事から、ここの上にまた空間があると悟る。
不意に、そのかけられた梯子の上からニュッと白い足が覗く。
思わず身を固くすると、ギシギシと梯子を揺らしながら齢12歳位の少年が現れた。
?「お、目が覚めたみたいだな!良かった良かった!突然血を吐いて倒れるから、びっくりしたぜ!お前、名前は?」
正にマシンガン。
言葉の数はそこまで多くはないものの、ノンブレスにつらつらと並べ立てるそれに目を白黒させながら、自身の名を名乗る。
『……彼岸と、申します。
助けてくれて感謝します。
…僭越ですが、貴方のお名前は?』
優「ん?あぁ、俺は優希!東雲優希だ!よろしくな彼岸!」
屈託の無い笑顔でニコッと微笑むその少年に、彼岸は思わずその背後に太陽を幻視した。
……太陽は、嫌いだ。
じりじりと照りつけ、その陽光は全てを救うと言われているのに何も救ってはくれなかった。
その時の記憶はなぜか曖昧だが──それでも酷く太陽が憎く感じたのは覚えている。
思考の海に沈みかける彼岸。
すると、不意にサラサラとした黒髪が視界を掠める。
顔を上げると、少年……優希が心配そうに彼岸の暗く沈んだ顔を覗き込んでいたのだ。
『っ?!』
思わず勢いよく飛び退き、反射で空手のポーズをとる彼岸。
実を言うと彼岸、見知った者以外には割と初見での警戒心は強めだった。
元より冷淡な人物だった為、避けられ疎まれた方が彼女にとっては都合が良かった。
空の上……黄泉の者であればそれらは多少は緩和される。
しかし、己ら獄卒とほとんど変わらぬ姿をしているのに既に使い物にならなくなった心臓を動かす者共……生者を奇怪に思っていた当時の彼女がいた為、それは顕著に現れる。
優「わ、ごめんて!驚かせるつもりは無かったんだが…」
少し離れ、ポリポリと頬を掻くその姿に思わず毒気を抜かれる。
それが──優希との出会いだった。
366人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハルサ(プロフ) - 碓氷時雨さん» (・ω・(ヾ)YES!(ストーブの前で書き書き) (2020年11月4日 21時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷時雨(プロフ) - うっす!(`・ω・´)ゝ(布団の中待機なう) (2020年11月4日 2時) (レス) id: 49e22a6e0b (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - 碓氷時雨さん» ありがとうございます!ですが最近冷え込んで来たので、暖めるのを忘れずに……!ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ (2020年11月3日 21時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷時雨(プロフ) - マジっすか!全裸待機してますね!)))) (2020年11月3日 19時) (レス) id: 49e22a6e0b (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - 碓氷時雨さん» ( °ω° ;)=( ;°ω° )イエイエイエ!!(高速首振り)全然大丈夫なんですが、なんかすいませんこちらこそ……とりあえず、近いうちに制作予定なのでよろしくお願いします(´・ω・`) (2020年11月3日 15時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハルサ | 作成日時:2020年10月18日 12時