返せ ページ40
side無し
──不意に、風切り音が響く。
各々が目を向けると───そこには、上からユウを抱えるリリアに斬り掛かろうとしたらしい彼岸の刀を見事に受け止めていたシルバーの姿があった。
しかしそれは、彼のマジカルペンであった。
己の主人、マレウスの護衛の為非常時は形を剣に変え帯刀するのが許されていたのだ。
ギシギシとかち合わせた刀が揺れ、その度火花が散る。
一度シルバーが刀を深く押し込み、キンッと弾かれた彼岸はふっと飛び距離をとる。
『……返せ、ユウを、返せ！！』
じじ、とノイズがかかったような仄暗い声色だった。
ドロリ、と涙のように流れ出るブロットの隙間から──文字通り怒りに燃えた、紅い瞳が見え隠れする。
─…彼岸の攻撃が激しすぎる、一度降りるぞ─
グルル、とマレウスらしき荘厳な声が響く。
静かな、しかし重量感のある声に一同の身が強ばる。
一度丸く旋回し、彼岸を避けながら一行を乗せたマレウスはふわりと着地した。
各々が背中から飛び降り、全員降りたのを確認した彼は魔法でいつも過ごす姿に戻した。
……が、予想以上に彼岸の攻撃が苛烈だったようでフラリと足元が浮つき彼の護衛であるシルバーとセベクに支えられていた。
セ「若様っ！」
シ「マレウス様！」
リ「マレウスがここまで疲弊するとは……やはり厄介じゃの」
レ「言ってる場合か！！
苛立しげにユニーク魔法を放とうとしたレオナの肩を、リリアが掴む。
嫉妬を表す緑の瞳が、苛立たしげに彼の紅い瞳を睨む。
何か一つ文句を言ってやろうと唸り声を上げた彼だったが…リリアのいつになく真剣な眼差しに思わず口を閉じる。
リ「お主らはそこで待っておれ。
……儂はあやつの"友達"として、あやつを止める責任がある」
ユウをディアソムニアの面々に任せたリリアは、地面に降り立った彼岸にゆっくりと近付く。
攻撃を放とうと片手を上げた彼岸だったが、不意にその手を降ろす。
何故そうしたのかは、分からなかった。
けれど、そうしなければいけない気がした。
ただ、そんな曖昧な理由で。
リ「……一つお主に聞きたい」
『…なんでしょう』
リ「──お主の望みは、なんだ？お主が焦がれるものは、一体どこにある。
どうか教えてくれ、愛しい子よ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 366人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハルサ(プロフ) - 碓氷時雨さん» (・ω・(ヾ)YES！(ストーブの前で書き書き) (2020年11月4日 21時) (
レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷時雨(プロフ) - うっす！(｀・ω・´)ゝ(布団の中待機なう) (2020年11月4日 2時) (レス) id: 49e22a6e0b (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - 碓氷時雨さん» ありがとうございます！ですが最近冷え込んで来たので、暖めるのを忘れずに……！ヾ(・ω・`;)ﾉぁゎゎ (2020年11月3日 21時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷時雨(プロフ) - マジっすか！全裸待機してますね！)))) (2020年11月3日 19時) (レス) id: 49e22a6e0b (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - 碓氷時雨さん» ( °ω° ;)＝( ;°ω° )イエイエイエ！！(高速首振り)全然大丈夫なんですが、なんかすいませんこちらこそ……とりあえず、近いうちに制作予定なのでよろしくお願いします(´・ω・｀) (2020年11月3日 15時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハルサ | 作成日時：2020年10月18日 12時
