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保健室にて。 ページ11

烏間side

……何者だろうか、この少女は。

丸椅子に腰掛け、保健室のベッドで静かに身体を横たえる翠蓮と名乗った少女をジッと見つめた。
赤羽が間一髪で受け止めた事で地面に激突する事自体は免れたが…この少女、肋骨に二本罅が入っていた。

折れなかっただけ幸いだが、流石に折れる寸前だった為彼奴があたふたと治していた。

こんな状態では、外に放り出す訳にもいかない。

とりあえず生徒には自習に入ってもらい、少女は保健室のベッドに寝かせた。

それなりの場数を踏んできたと自負している俺でもこんなことは生まれて初めてだ。
大正から来たと少女は言った。
それだけでも妙な話だ。

それがもし本当ならば、彼女は百年以上前から来たとされる。

──タイムスリップ。

そんな言葉が脳裏に浮かび上がる。
それに───一つだけ、彼女の言った言葉に覚えがあった。

鬼殺隊

古来より存在し、人を守る為に異形を狩りし武士(もののふ)達。
本当に存在したかどうかは定かではないが、書物や刀、着物が確かに残っている。
だが、それに至るまで多くの物が災害などにより失われていったが。

鬼殺隊 氷柱 翠蓮鏡花。

彼女は確かにそう名乗った。

もしそれが本当ならば────···、

『……ん、』

「!」

陽の光を浴び、キラキラと星のように輝く長い睫毛が確かにフルリと揺れた。
ザリ、と腰掛けていた丸椅子を後ろに下げ先程まで浮かべていた思想を思考の片隅に追いやった。

念の為凶器となりうる刀は没収したが、どう出るか……。

ユルリと眼が開かれ、氷の様なアイスブルーの瞳に光が溶けていく。
その形容しがたき美しさに、思わず無意識ながら息を呑んだ。
やや微睡んだ様な瞳が、緩くこちらを向く。

パチリ、

一つ瞬いた後、彼女はゆっくりと上体を起こした。

「おい、もう動いても大丈夫なの」
『…………ここは、どこだ』

言い切る前に、サクリと切るように返された。

…返すというよりは、まるで独り言のようなそれであったが。

「…ここは校舎の保健室だ。
肋を折っていたから、ひとまず運ばせてもらった」

それにほんのりと居心地の悪さのような物を覚えながら、とりあえず恙無く質問に応じた。
俺の答えに、彼女『そうか、』と一言呟いた後静かに窓の外の景色を見やった。

まだ疑問や疑念は残るが、ひとまずは落ち着いたようだ。

終わり ログインすれば
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←大正から来た女の子。



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零華 - 続き楽しみです (2021年1月13日 17時) (レス) id: 6f87195320 (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - Ruiさん» 指摘ありがとうございます!修正させていただきます! (2020年9月25日 8時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - あやめさん» ありがとうございます、嬉しいです!蛇足ですが、これからも見てくれると嬉しいです! (2020年9月25日 8時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
Rui(プロフ) - 追記:最後まで呼んだところ''保健室にて。''の話でも名前変換が出来ていないところがありました。 (2020年9月25日 3時) (レス) id: 597445a026 (このIDを非表示/違反報告)
Rui(プロフ) - 夜分遅くに失礼します。 このお話とても面白いです! 話を読んでいる時に設定の名前の部分と''謎の生物。''の所の最後の部分で名前変換ができていませんでした。ご確認お願いします。(*・ω・)*_ _)ペコリ (2020年9月25日 3時) (レス) id: 597445a026 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハルサ | 作成日時:2020年8月31日 16時

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