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『 ジフンくん、これお願いします 』
「 おう、そこ置いといて。……それ、いつも助かってる 」
『 へ?……あ、うん。良かった。入れとくね。 』
ジフンくんは私が経理に持ってきた領収書を見てそっけなくそう言う。
チェックする人がわかりやすいように、と、領収書にはいつも付箋を貼って詳細を書くようにしている。
自己満足でやっていたことだけど、そう言ってもらえるとなんだか嬉しいな。
「 ……ていうかさっきから何?プリンターずっとうるさいんだけど。 」
ジフンくんは少し不機嫌な口調で周りの同僚にそう言う。
確かにさっきからプリンターはずっと動いていて、何かの書類が湯水のように吐き出されている。
その割には誰もそれを取りに行こうとはしなくて、プリンターの上にどんどん紙が溜まっていっていく。
ジフンくんの呼び掛けに反応する人はおらず、私は不思議に思ってプリンターに近付く。
「 ……いいよ、俺が確認するから。 」
珍しく立ち上がったジフンくんも私の隣にきて、2人で1枚ずつ印刷された紙を見てみる。
『 ……これ、 』
「 ……おい、お前んとこから飛んできてんじゃねーか 」
どう見ても見覚えのあるフォーマット、そして右上にある " 営業1課 " の文字。
しかも、ざっと30枚ほど同じものが印刷されている。
『 ……え、なんで??? 』
「 ……誰だよマジで。止めてこい。 」
ジフンくんはプリンターを操作して溜まったキューを削除したあと、私の背中を押して経理のエリアから追い出す。
こんなミス、思い当たる人は1人しかいないわけで。
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『 ちょっとスニョンくん!? 』
「 あ、Aおかえり!!なんかこれ印刷できねーんだけど…… 」
『 プリンター選択間違えてる!!経理のフロアで山ほど印刷されてるから!! 』
戻るとすぐ話しかけてきたスニョンくんに慌ててそう言うと、周りで聞いていたみんなは一斉に笑い出す。
「 え、なに?どういうこと? 」
『 見て、ここ。 』
私は横からスニョンくんのパソコンを覗き込み、案の定間違って選択されているプリンターの欄を指さす。
「 ……あ、ほんとだ!! 」
ニッコニコの笑顔で " ありがとー! " と言うもんだから、なんだか力が抜けてしまう。
『 電話いれときなね、ジフンくん怒ってたから…… 』
「 マジ?内線内線…… 」
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まこ(プロフ) - つかっさーさん» ありがとうございます!!今後も楽しみにしてもらえるよう頑張ります(^-^) (2021年11月27日 20時) (レス) id: 7510ce0228 (このIDを非表示/違反報告)
つかっさー(プロフ) - この作品本当に大好きです!細やかながら応援してます^ ^ (2021年11月27日 10時) (レス) id: 17593dbb6b (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - 優さん» すごく嬉しいです!ありがとうございますーー!( ; ; ) (2021年11月26日 22時) (レス) id: 7510ce0228 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 帰ってきたスニョンに教えるってていで人物紹介するの展開うますぎてすごいです めちゃくちゃ好きですこのお話 (2021年11月15日 14時) (レス) @page25 id: 19dcd445f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まこ | 作成日時:2021年10月8日 18時