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なんとなく、チャンくんの気持ちに気付いていないわけではない。
つい最近までは " 勘違いかなあ " なんて思っていたけれど、何週間か前からちゃんとアタックされるようになって少し戸惑っている。
" ヤキモチ妬いちゃいます " なんて歯が浮くようなセリフを3つも年上の女に言えてしまう彼は末恐ろしい。
『 はあ〜… 』
「 A先輩、ため息珍しいですね 」
『 ああ、ミンギュくん。ごめんね 』
「 ……なんかありました? 」
『 ……ううん、ただ、……今月ちょっと調子悪いなって 』
誤魔化すように、さっきまで見ていたエクセルの画面をスクロールする。
「 なに言ってるんですか、ジョンハニヒョンに次いで2位のくせに。 」
ホワイトボードに貼りだされた営業1課の成績棒グラフを見てミンギュくんはそう言う。
いつも通り1番は飛び抜けてユン先輩だけれど、その下でみんなと争ってギリギリ2番にいるのが私のグラフだ。
『 ……あのシステムやだよね、焦っちゃう 』
「 ほんとですね〜。キム部長戻ってこないかな〜。 」
『 昇進しちゃったからねえ…… 』
去年まで営業1課長を務めていたキム部長はすごく仕事ができて優しくて、時には厳しく叱るけどそこには絶対に愛がある素敵な上司だった。
そんなキム課長が今年の春に営業部長に昇進され、空いた1課長の椅子に座ったのが今のチョン課長。
悪い人ではないんだけれど、情熱的すぎて少し暴走気味。
最近はこうして成績のグラフを貼り出したり、社員同士の競争心を煽るようなセリフをたくさん言うようになった。
気にしてないのは飛び抜けて成績のいいユン先輩くらいで、他のみんなは正直ピリついている。
ミンギュくんはのんびりと仕事をしている営業2課を羨ましそうに見ながら、
「 異動したいな〜 」
なんて呟く。
『 ……そうだねえ、最近空気悪いもんね 』
「 はい……1課の唯一の良心ことA先輩までため息ついてるから、なんかもう悲しくなっちゃいましたよ 」
『 何それ 笑 』
「 酔った時にジョンハニヒョンが言うんですよ、いっつも!Aね〜1課の唯一の良心ね〜って 笑 」
「 おいキムミンギュ 」
「 うわ!ヒョンいつから!? 」
「 ずっといる。早くこれ処理して。 」
「 はいはいはい…… 」
どこからともなく現れたユン先輩に契約書を押し付けられ、ミンギュくんは渋々自席へ戻った。
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まこ(プロフ) - つかっさーさん» ありがとうございます!!今後も楽しみにしてもらえるよう頑張ります(^-^) (2021年11月27日 20時) (レス) id: 7510ce0228 (このIDを非表示/違反報告)
つかっさー(プロフ) - この作品本当に大好きです!細やかながら応援してます^ ^ (2021年11月27日 10時) (レス) id: 17593dbb6b (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - 優さん» すごく嬉しいです!ありがとうございますーー!( ; ; ) (2021年11月26日 22時) (レス) id: 7510ce0228 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 帰ってきたスニョンに教えるってていで人物紹介するの展開うますぎてすごいです めちゃくちゃ好きですこのお話 (2021年11月15日 14時) (レス) @page25 id: 19dcd445f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まこ | 作成日時:2021年10月8日 18時