遠恋 (ページ22)

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『ただいま』

「おかえり」
「今日はご飯もお風呂も用意できてる」

『ん、飯食う、さんきゅ』

同棲を始めて一年。

どうしても続けたいって自分から仕事を続けていたのに
帰ってきて溜まっている家事に溜息をこぼす日。

いろんなストレスがぶつかり合って、
同棲なんかしなきゃ良かったって言い放った日とか。

帰り遅いなぁ、寂しいなぁって、渦巻いちゃった日も。

そんなの、沢山たくさんあった。

それでもやっぱりすきな人というのは偉大なもので。

ただいまって声を聞けば、
甘ったるいのにどこか爽やかなそんな匂いを感じたら、
んへって、気の抜けた笑顔をみたら。

なんでも良くなった。

『いただきまーす』

「あ、、はーい」

『、、どした』

「え、や、べつに何もないよ？」

『、、そ？』

ならいーけどって。

、、オムライスだからかな。

無意識なのか分からないけれど少し目尻が下がって、
きゅってなって、口角も少しだけあがってる。

、、可愛いな。

『、、あ、』

「、、なに、？」

『今度さメンバー連れてきてい？』

「んへ、」
「いい、けど、急だね？」

『あー、、、そっか、Aに言うのは初めてかも』

「え、？」

きっとこれからも、辛いこととか悲しいこととか、
数え切れないほどあるそれは全部ぜんぶ、
なんでもいいやって、そうなってくんだと思う。

『メンバーには言ってたんだよ、』
『、、これからずっと一緒にいる奴だって』

不器用で、だけど本当に、ほんとうに優しい、
すきなひとと一緒なのだから。
　
　
　
　
　
　
　
- 番外編 fin -
　
　
　
　
　
　
　
　