10. ページ10
その後、病院へ送られた相葉。
検査の結果、やはり骨折だった。
ついでに送られた松本も休養をとることに。
大野も送ろうとしたのだが、頑として動かなかったため大野は本部に残っている。
「潤くん、相葉さん。調子はどうです」
「暇」
「同じく」
ベッドに横になっている二人。
相葉は絶対安静、松本も安静を言い渡されていた。
「でしょうね」
肩をすくめた二宮が、椅子の上にカバンを置いた。
「潤くんは明後日退院ですってよ」
「俺、何ともないのに何で入院させられたの」
不満げな松本。
「相葉さんがこうなったからでしょ」
「俺のせい？ 関係なくない？」
「あぁもう、はいはい。これ相葉さんの着替えね」
相葉を黙らせるように服を置いた二宮。
「休めるときに休んでおきなさい。普段はそうもいかないんだから」
「そうは言うけど」
不満そうな相葉。
二人揃って何だと思っているのか。
「雹隊の貴重な戦力ですよ。しっかり治してくださいな」
「俺、怪我してない」
「怪我してないは嘘でしょ」
「……はい」
二宮がため息をつく。
「全く、わがままな人ばっかりこの班は集まって」
「そういうニノはひねくれ者」
「何だって？」
「ひえ」
相葉が身を震わせる。
「俺、怪我人だから」
「そういうときだけ……治ったら覚えてなさいよ」
苦笑した松本。
そうは言っても相葉は戦闘員。
普通に考えたら相葉が二宮に負けるはずはないし、二宮もそれは分かっている。
ただのおふざけだ。
「このままじゃ平和ボケするわ」
「本当、身体が鈍っちゃうよね」
二人の嘆きは戦闘員特有のものだ。
「んも、黙って休んでなさいって言ってるでしょうが」
それじゃ俺は戻るよ、と二宮が出て行こうとする。
「和、なんかあるの？」
「仕事がね。他の班からの依頼が多くて」
「まあ、ニノは雹隊の中でも情報に関してはプロだからね」
黙って肩をすくめた二宮。
特に何か言うつもりもない。
「脱走したりすんなよ。何かあったらすぐ連絡来るからな」
「はいはい。休んでるよ」
ひらひらと手を振った松本を見て目を細めた二宮。
「本当、潤くんって」
「ほら、早く帰んなよニノ。仕事あるんでしょ」
「わーかってますって。そんな追い出さなくても行きますよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 443人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
