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「あっちゃー、こりゃ酷くやったね」
相葉の足を見て、大野が一言。
見張りから連絡が来たらしく、救護室に顔を出したのだ。
「うん、ニノが言う通り病院送りだね」
「そんな」
「それで現場に行こうとしてるの？ それはバカだよ？」
「大ちゃんに言われたくない」
あはは、と笑った大野。
そんな大野は、左腕を肩からつっている。
「あなたも現場行こうとして隊長から止められた人のくせして」
「だって本部に残っててもつまんないじゃん」
「あのね」
大野は前回の現場で、左腕を折った。
自分よりも背の高い相手に突っ込んでいって、捻られたらしい。
無謀と言えば無謀だが、それと引き換えに相手の命を奪っているため、結果としては良かったらしいのだが。
班長が班長なら、班員も班員だ。
「そういえば、潤くんは？」
「なんかね、思ったより酷く打ってたみたいで。一応検査中」
「そうですか」
「ま、相葉ちゃんの方が酷いけど」
見れば分かる。
うーん、と考えて口を開いた大野。
「雹隊の被害状況、聞きたい？」
「そりゃまあ、聞けるものなら」
「元々の作戦から変更があったから、割と被害出てるんだよね」
元々、今回の目的は相手組織の幹部殺害だけだった。
それが、急に組織殲滅に変わったのだ。
「多分、上では殲滅させることに元々決まってたんだろうね。でもバッシング食らうと思ってたから、直前で命令を変えた。いい迷惑だよ」
大野は嫌そうに言い放つと、パイプ椅子に座った。
「おかげで三班班長と十八班班長が死んだよ。どうするつもりなんだか」
「班長が死んだのか」
思わず三人で顔を見合わせる。
班長がいなくなった班というのは、どうも結束力がなくなる。
そのまま雹隊に留まり新しい班長を迎えた、なんていう前例はない。
「あの班員たち、雹隊から霜隊に異動だろうね。可哀想だけど、霜隊の方が仕事は安全だし」
複雑そうな表情を浮かべた櫻井。
「ってことは、霰隊から雹隊に移ってくる可能性が？」
「まあ、単純に言ったらそうかな。欠員補充だよね。嫌な話だけどさ」
二宮が顔をしかめる。
「ほんと、嫌な話ですね」
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
