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「お、十五班の班長だ。班員も一緒なのか？」
本部の廊下。
十五班が使う部屋の前に、男が三人立っていた。
嘲笑うような口調で話しかけてきた男。
ここには雹隊所属の者しかいない。
だからもちろん、誰なのかも知っていた。
大野は顔色一つ変えずに、そのまま三人に突っ込んでいく。
部屋のドアを開けようと右手を伸ばすと、その腕を掴まれた。
「おい、班長」
「俺は十五班の班長だけど、お前の班長じゃない」
失せろ、と短く吐き捨てた大野。
櫻井も不愉快そうな顔で三人を見ている。
たまに、こういうことがある。
羨望が度を超えた結果、壊したいと思うのだろうか。
羨望が憎悪に変わり、攻撃してくる隊員もいる。
「そんなこと言っていいのかよ。今は左腕が使えなくて戦えないくせに」
ちっ、と舌打ちした大野。
掴まれていた右手をひねり、足で膝裏に蹴りを入れる。
突然の大野の反撃に、バランスを崩して倒れ込んだ男。
「長田。お前いい加減にしろよ」
倒れた長田を見下ろして、はっと笑う大野。
「片腕が使えないやつにも負けんだな」
何も言えない長田。
取り巻きの二人にもちら、と目をやる。
「酒田と松永。お前らもよく考えろよ」
「偉そうに言うな」
そう呟くと、酒田は拳を振り上げて向かってきた。
狙いは櫻井だった。
目を見開いた大野。
想定外だ。
櫻井も一瞬目を丸くしたものの、目を細めて酒田の動きを見る。
左手で手を払い、首の後ろに手刀を落とした。
そのまま、どさっと櫻井に崩れ落ちる酒田。
「アホだな」
酒田を受け止めて、呟いた櫻井。
ほっとため息をついた大野は、残っていた松永を見る。
「何？ まだやるつもり？」
そう言うと、松永は二人を置いて黙って去っていく。
「おい、松永」
「お前は黙ってろ」
立ち上がりかけた長田の首の後ろに、櫻井と同じように手刀を落とした。
崩れ落ちる長田。
「ったく……手間取らせやがって」
不機嫌な大野。
「これ、どうしたらいい？」
「その辺に放り投げとけば？」
興味なさそうに言う。
「加減には気をつけたし、長田はそのうち目覚めるよ。どうにかするでしょ」
「そうだね。俺も気をつけたけど」
ロック解除をしてドアを開けた大野。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
