45. ページ45
「ああやっていちいち聞いてくるの嫌いだからさ」
「まあ、だとは思ったけど」
病院を出て、本部に続く道を歩く。
「何でも聞いてくる人嫌い」
知ってるよね？ と顔を上げた大野。
「知ってるよ。何年一緒だと思ってるの」
「よかった」
ほっ、とため息をついた。
「大野くん、面倒臭いことも嫌いだよね」
「嫌いだよ。でもそれ翔くんも同じでしょ？」
どこか挑発的な目で櫻井を見る。
「……どこでそのスイッチ入ったのよ」
苦笑した櫻井。
この目、苦手だ。
「さあね」
ふふっと笑った大野。
「誰の情報網がいいのか、なんてさ……俺は雹隊のことだけど。翔くんは霰隊のが入ってくるでしょ？」
「そうだね。俺はほとんど霰隊だけ。相葉くんもそうだよね」
「だね。松潤からは霜隊の情報入ってくるし。ありがたいよ」
「すごいのはニノだよ。三隊分の情報が一通り入ってきてるんだから」
肩をすくめる櫻井。
「本当だよ、ニノには敵わない」
大野も肩をすくめた。
「さすが情報担当、情報網が広いよね」
「ニノほどの情報網持ってる人は部隊にいないだろうね。怖いよ」
「班員でよかったね」
「本当にね」
雹隊の各班の情報担当、そして霰隊、霜隊の情報担当とも関わりがある二宮。
隊ごとの生活範囲は違うため、普通に暮らしていたらまず他の隊の人と関わることはない。
だが、二宮は「仕事だから」と他の隊の場所にもよく行く。
そこで人脈も一緒に作ってくるのだ。
二宮の情報網から大雑把な情報を手に入れ、気になることがあったら他の四人の情報網で細かく調べる。
それが十五班のやり方だった。
「でも、部隊やめた人とも繋がってるのは大野くんぐらいなものでしょ」
「まあ、そうだろうね。普通は連絡なんて取りっこないし」
さらっと言う大野。
「普通」は、連絡を取ることはできないし、取る手段もほとんどない。
「野村さんとは連絡取るの？」
「いや……やめとくわ。他の人に頼んで見ててもらう」
「何で？ あんなに長い付き合いだったのに」
は、と短く息を吐いた。
「長い付き合いだったからこそ、だよ」
俺の汚い部分、野村には見せたくないし、と呟いている。
「……そっか」
大野の行動基準はよく分からない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 443人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
