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「大野、入院だ」
「嫌だ、何も騒ぎ起こしてないでしょ」
「違う、あんたの検査結果が怪しいからだよ。とりあえず検査入院」
「嫌だって言ってるでしょ。入院は絶対しない」
医者と喧嘩する大野。
大野の隣に座っている櫻井は苦笑いだ。
「大野くん、一回ちゃんと調べてもらった方がいいよ。無理してるって」
「何ともないって」
眉をひそめた医者。
「何ともなくない、数値で出てきてる」
「機械がおかしいんだよ」
「んなわけあるか」
言い合いを続ける大野と医者。
ここの付き合いも、もう数年になる。
「よく倒れないよな」
「何で？」
「ヘモグロビンが極端に少ない」
これ、と紙を渡す医者。
と言われても普通の数値がどのくらいなのかは知らない。
「少なかったら何なの？」
「貧血だよ」
うそ、と目を丸くした大野。
「二宮は単純に赤血球数が少ないんだけどな。鉄分を取ること意識しろ。鉄剤出すまでではないと思うし、言ったら大野はちゃんと取るだろ？」
「うーん、多分ね。まあ気にはするよ」
本当に気にするのだろうか。
普段の大野の様子を思い浮かべて、また苦笑する櫻井。
同席しているのは、言われたことを大野が班員に何も報告しないから。
「でもそれより気になるのは、前に調べた時よりも白血球数がかなり増えてる」
「増えるとなんかあるの？」
うーん、と腕を組んだ医者。
「今体調悪いか？」
「分かんない」
「ストレスは？」
「うーん、それはあると思うけど」
それを聞いて、首を傾げる。
「どうなのかなあ……」
「何？ 何を気にしてんの？」
大野が顔をしかめる。
医者が何を考えているのか分からない。
「入院してくれ。三日でいい」
「三日？ やだってば」
「骨折も治らねえぞ、一回入院しろって」
「治った」
「嘘つけ、だったらもっかいレントゲン撮ってこい」
「分かった」
本当にレントゲンを撮りに向かった大野。
取り残された櫻井。
「あいつ、バカなの？」
「今に始まったことじゃないから」
笑う櫻井。
本当に入院が嫌なのだろう。
ここまで来るとむしろかわいい。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
