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「大野さんはどこにいるの？」
「あの人も検査。何だかんだで暴れてるから治りが悪いらしくて。次に病院内で騒ぎ起こしたらどんな怪我でも強制入院させるから、って脅されたらしい」
「誰に？」
「看護師長」
「あぁ」
浮かんだ顔に苦笑する。
あの人は怖い。
雹隊の隊長でも容赦なく叱り、病院内で一番強い人だと言っても過言ではない。
看護師長に叱られ、謝りっぱなしの隊長を見て以来、特にあの人のことは怖くなった。
そんな看護師長と渡り合い、本来なら入院相当の怪我をしたときにも入院拒否を繰り返す大野も、かなりの強者なのだ。
看護師長も、少しだけ大野には甘い。
「医者からも怒られてたよ、大野さん。そんな感じだから入院しろ、って言われるのに」
「頑固拒否？」
「そう。今回は医者も看護師長も大野さんの頑固さに折れてる。すごいよあの人」
「自慢できたことじゃねえな。迷惑かけすぎ」
ああいう患者ほど面倒臭い存在はないだろうに。
「和も言われてたからな。あまりに体調管理できないようなら二週間に一度の通院命令出すって」
「うわ」
それは勘弁してもらいたいわ、と嫌な顔をする。
その顔が本当に嫌そうで、思わず松本は吹き出した。
「そんなに嫌なの？」
「仕事のスケジュールが狂うでしょ。だから嫌」
「そんな数時間ぐらい」
「……潤くんが手伝ってくれるなら話は別だけど」
「いや、和の仕事内容は俺はわからない」
「知ってる。冗談だよ」
はあ、とため息をついた二宮。
「大野さんか翔さんに確認したいことがあったんだけど。どっちも検査中なら後か」
「何のこと？」
松本を見上げる二宮。
「昨日仕事手伝ってもらって、気づいたことが何もなかったのか、って。多分気づいてることあるはずなのに何も言ってこないんだよね。だからこっちから聞こうかと」
「確信持てるまで言わない、って人だからね。和もそうだから人のこと言えないだろ」
「そうなんだけどさ」
ぶつぶつ何か呟いて、またため息をついている。
手の甲の管を嫌そうに見て、頭を振ってバタンとベッドに倒れ込んだ。
「ひまだなあ」
「休めるときに休んでおきな。普段はそうもいかないから」
「潤くんも俺が言ったことそのまま言ってくるな」
「和が言うことは五人ともに言えることだからね」
そうだけど、と不満げな二宮。
「別に今始まったことじゃないだろ。和も言うくせに」
「まあね」
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
